理論心理学,批判心理学とは?

理論心理学と批判心理学

 理論心理学(theoretical psychology)は,今日ではさまざまに分化した心理学の多くの専門領域のひとつです.
 理論的問題を研究主題とするため,心理学の一領域でありながら,その全体をみわたす視座から研究活動を展開しています.
 心理学に関する理論的問題は19世紀の最後の四半世紀の間に,大学における制度的学問として心理学が成立して以来,諸国の研究者の関心を集めてきました.

 しかし「理論心理学」という言葉は多義的で,どのような心理学なのか分かりにくい,という声も聞きます.

 国際理論心理学会(International Society for Theoretical Psychology)に集う研究者の多くは,理論心理学とは「心理学のメタ学問」である,と考えています.
 心理学史や心理学の哲学・社会学などを探究し,今日までに心理学が生み出した数多くの理論と研究方法論を比較検討し,理論構成にかかわる諸問題を考察して,新たな理論の構築を含め新しい心理学を目指しています.

 現行の心理学を変革しようと企図する批判心理学者にとって,理論心理学がもたらす既存の心理学の歴史や哲学,社会的位置などの描像は研究を含む様々な批判的実践の出発点です.
 理論心理学者は
国際理論心理学会(ISTP,1985年創設)やアメリカ心理学会 理論的/哲学的心理学部会(第24部会,1963年創設)などで,メタ学問的研究に取り組んでいます.代表的な学術誌に Theory&Psychology 誌や Journal of Theoretical and Philosophical Psychology 誌があります.



現代批判心理学運動

 心理学のメタ学問としての理論心理学は,批判心理学(critical psychology)の基礎となるものです.「批判」という言葉は,特に日本語ではネガティブな印象をもたれやすいようです.
 しかし,批判心理学は他者の活動をただ批判するような後ろ向きの心理学ではありません.

 20世紀は「心理学の世紀」だった,と言われます.前世紀をとおして心理学は多方面に発展し,大学における研究のようなアカデミックな領域でも,産業や教育,軍事,司法,医療,福祉,行政など様々な社会セクターにおいても心理学の存在感が高まっています(心理学化の進行).
 心理学は各種の教科書に記されているような数多くの成果をもたらしました.それは心に関する学問を推進し,人々の生活にとって有用な多くの知識や技術を産出してきました.

 しかし,「客観的で科学的な人間一般の心理学」のよそおいのもとで特定の文化的,社会的価値を自然化し,日常生活の中で人々の内的性質を管理・統制して主観性と実生活にときに偏った影響を及ぼすなど,その負の側面にも目を向ける必要があります.

 現行の心理学が人間の幸福や福祉に寄与しているか(反対に幸福や福祉を阻害していないか),心理学研究をとらわれのない立場から推進しているか,といった視点から,心理学と心理学者の営みを批判的に検討して,新しい心理学のあり方を探究する研究者は稀ではありません.

 批判心理学は現行の心理学がかかえている様々な問題(理論構成,研究や心理臨床などの実践,心理検査などの心理学的所産,心理学の教育や制度,社会との関係など)を検討し,解決しようとしています.
 そのために理論心理学が様々なリソースをもたらしてきました.
 

 批判心理学はある特定の学派や理論や方法ではありません.上記のように既存の心理学を変えようと取り組むスタンスが批判心理学を特徴づけています.批判心理学者の多くは,心理学と自分自身を反省的に振り返るリフレキシビティを共有しています.

 こうした立場にたつ欧米やラテンアメリカ,アフリカ,アジアの心理学者が方法や理論などの相違を越えて近年,連携するようになりました.これを私は20世紀末以降の世界の心理学の特徴のひとつと捉え,「現代批判心理学運動」と呼んでいます.

 諸国の批判心理学者が取り組む課題も,そのために採用する方法も理論的リソースも多様です.
 フェミニスト心理学や解放の心理学,ポスト構造主義心理学,社会構成主義,反人種差別の心理学,質的心理学,ポストコロニアル心理学,LGBTQ心理学,ドイツ批判心理学(ベルリン学派),批判的コミュニティ心理学,メタ学問としての理論心理学,新しい心理学史などの立場から「批判的に心理学に取り組むdoing
psychology critically」研究者が多いようです.

  こうしたことから英語表記では‘critical psychology’ではなく,‘critical psychologies’と複数形で表すことも少なくありません.


おすすめの文献

 批判心理学と理論心理学を詳しく知るには,下記の文献が役に立ちます.

Parker, I. (Ed.) (2015) Handbook of Critical Psychology (Routledge International Handbooks). Routledge.

Teo, T. (Ed.) (2014) Encyclopedia of Critical Psychology (4 vols.). New York: Springer.

Teo, T. (2015, January 26) Critical Psychology: A Geography of Intellectual Engagement and Resistance. American Psychologist. Advance online publication.

Dafermos, M., Marvakis, A., Mentinis, M., Painter, D. and Triliva, S. (Eds.) (2013) ‘Critical psychology in a changing world: building bridges and expanding the dialogue (Special issue)’, Annual Review of CriticalPsychology,10. (https://discourseunit.com/annual-review/10-2013/)

五十嵐靖博 (2011) 「批判心理学とは何か:現代批判心理学運動と日本における可能性」.心理科学,第32巻第2号.

五十嵐靖博 (2004) 「理論心理学:心理学のメタサイエンス」 (『入門マインドサイエンスの思想:心の科学のための現代哲学入門』(新曜社)に所収)



批判心理学セッション

 批判心理学研究会は2010年から日本心理学会の年次大会などでシンポジウムを開いてきました.
 2017年10月に批判心理学にかかわる様々な主題を自由に発表し,討議する場として批判心理学セッションを始めました.批判心理学研究会が主催します.
 批判心理学に関心をおもちの方は,どなたでも参加できます.

 気軽に,前向に批判心理学について語り合いましょう.
 セッションは隔月で開かれます.各セッションの日時やプログラムなどの詳細は随時,当ブログでお知らせします.

 

 

2025年11月17日 (月)

宇都宮大学公開講座「自らを問い直し続ける心理学:批判心理学入門」

宇都宮大学公開講座「自らを問い直し続ける心理学:批判心理学入門」について,お知らせします.
現在,日本で発展する批判心理学の動向を知る格好の機会です.
自宅からZOOMで受講できます.

講座の詳細については,下記のサイトをご覧ください.
https://www.utsunomiya-u.ac.jp/koukaikouza/course_detail.html

以下,紹介文を転記します.
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自らを問い直し続ける心理学~批判心理学入門~
  21世紀以降、欧米だけでなくラテンアメリカやアジア・アフリカにおいて多様に発展している「批判心理学(=Critical Psychology)」の世界へ招待します。平和を目指し差別や偏見に対抗する心理学、性的マイノリティの立場を擁護する心理学、社会や文化や力の格差を自省する臨床心理学などを講じます。「こころ」の問題について多面的・多角的に考えるためのヒントを提供します。

期日及び時間帯
・1月10日(土)~2月21日(土)[全5回]13:30~15:30
・受講料 5,500円(税込)
・会場 ライブ配信(Zoom使用)

担当講師
・山野美容芸術短期大学 美容総合学科教授 五十嵐 靖博
・大東文化大学 文学部教授 杉田 明宏
・三重大学 教育学部准教授 栗田 季佳
・静岡大学 人文社会科学部 教授 田辺 肇
・一橋大学 学生支援センター特任准教授 柘植 道子
・宇都宮大学 地域創生推進機構教授 佐々木 英和

プログラム
1.1月10日(土) なぜ心理学で「平和」を主題化すべきか? 五十嵐・杉田
2.1月24日(土) 差別は心の問題か? 栗田
3.1月31日(土) 誰が心理療法の「効果」を決めるのか? 田辺
4.2月7日(土) 心理学における「LGBTQIA+」とは何か? 拓殖
5.2月21日(土) 自己実現はどう国家主義化したか? 佐々木

 

2025年7月25日 (金)

批判心理学セッションのお知らせ:8月16日開催

 8月16日に批判心理学セッションが開かれます.
 批判心理学に関心をおもちの方は,どなたでも参加できます.

 
第33回批判心理学セッション
日時:8月16日(土),午後1時開始

開催形式:Zoomによるオンライン開催

話題提供
1.今道 友昭(ニューヨーク市立大学) 「戦争,歴史,記憶,『ネバー・アゲン』ナラティブ」

2.秋本 倫子 (東洋英和女学院大学) 「続・『陰謀論の心理学』再訪:新型コロナを超えて」

3.増田 匡裕(和歌山県立医科大学) 「この次のセッションではMicheal Billigを論じてみたいと思います:
Rhetorical Social Psychology事始め」

4.五十嵐 靖博(山野美容芸術短期大学) 「批判心理学をどのように実践できるか:宇都宮大学公開講座(自らを問い直し続ける心理学~批判心理学入門~)を例として」

参加費:無料

主催:(公社)日本心理学会 批判心理学研究会 

参加を希望される方は下記のグーグルフォームから,前日までに申し込んでください.

https://forms.gle/za5uS3GAhQnhmXs68

*学生のみなさんの参加を大歓迎します!

 

2025年7月 7日 (月)

シンポジウム「日本の障害者問題と批判心理学」:7月19日,午後5時開会

Qr 7月19日,午後5時からシンポジウム「日本の障害者問題と批判心理学」が開催されます.
精神科医療における人権問題などの障害者問題 について,心理学の立場から理解を深める格好の機会です.
参加費は無料です.


シンポジウム:日本の障害者問題と批判心理学
日時:7月19日(土),午後5時開始

開催形式:Zoomによるオンライン開催

話題提供者:
1.五十嵐 靖博 (山野美容芸術短期大学)
2.有我 譲慶(大阪精神医療人権センター)
3.栗田 季佳(三重大学)
4.たにぐち まゆ(大阪精神医療人権センター,大阪精神障害者連絡会ぼちぼちクラブ)

指定討論:
田辺 肇(静岡大学)

司会:
いとう たけひこ( 和光大学 名誉教授)

参加費:無料

主催:日本心理学会批判心理学研究会,アフリカ‐アジア批判心理学フォーラム

*シンポジウムは日本語で行われ,録画されます.その後,英語字幕を付けてアフリカ‐アジア批判心理学フォーラムのウェブサイトで公開されます.

*下記のウェブサイトで参加登録を受け付けています.
https://afroasiancriticalpsychology.wordpress.com/
https://docs.google.com/forms/d/e/1FAIpQLSfapc_pakyvxLM0W2M0fZJ2WQprdRWln_GcjrveVbZJM4bdBg/viewform





 

2025年4月30日 (水)

批判心理学セッションのお知らせ:6月29日(日),午後1時開始

批判心理学セッションが6月29日(日)に開かれます.
午後1時,開始です.
今,心理学が抱えている様々な問題に取り組む批判心理学に関心をお持ちの方は,どなたでも参加できます.
参加費は無料です.

第32回批判心理学セッション
日時:6月29日(日),午後1時開始
開催形式:Zoomによるオンライン開催
話題提供
1.秋本 倫子 (東洋英和女学院大学)「『陰謀論の心理学』再訪:新型コロナを超えて」
2.村本 邦子(立命館大学)「新型コロナ対応に見るプロフェッショナリズムと心理士の弱点」
3.後藤 智子(元・梅花女子大学)「知られにくく・見えにくい被害をめぐる心理学的課題:新型コロナにとどまらず」
参加費:無料
主催:批判心理学研究会

参加を希望される方は,下記のグーグルフォームから前日までに申し込んでください.
https://forms.gle/nJ2PytuBaUXkexbEA

*学生のみなさんの参加を大歓迎します!

 

 

2025年1月13日 (月)

批判心理学セッションが3月2日に開かれます

3月2日に批判心理学セッションが開かれます.
次回のセッションはレクチャーと話題提供の2部構成です.

第31回批判心理学セッション
日時:3月2日(日),午後1時開始

開催形式:Zoomによるオンライン開催

第1部 講演
1.田邉 尚樹(目白大学)「〈経験〉から教育を問いなおす:元良勇次郎の新心理学の思想から」

第2部 話題提供

1.栗田季佳 (三重大学)「聾学校における手話の抑圧―個人主義的学習理論の過ち―」

2.増田 匡裕(和歌山県立医科大学)「学部生対象の私の授業では取り扱いを終える比喩(隠喩・換喩・提喩)研究の新たな使い道を考える」

参加費:無料

主催:日本心理学会批判心理学研究会

参加を希望される方は下記のグーグルフォームから,前日までに申し込んでください.
https://forms.gle/onp9pE6n9L2g6GTG7

*学生のみなさんの参加を大歓迎します!

参加費:無料

主催:日本心理学会批判心理学研究会

 

 

 

 

 

2024年11月 8日 (金)

1月12日に批判心理学セッションが開かれます!

批判心理学セッションが1月12日(日)に開かれます.
批判心理学に関心をおもちの方は,どなたでも参加できます.

第30回批判心理学セッション
日時:1月12日(日),午後1時開始
開催形式:Zoomによるオンライン開催

話題提供
1.いとう たけひこ(和光大学)「コロナワクチンを心理学する」
2.増田 匡裕(和歌山県立医科大学)「Q方法論のパイロット研究の参加者に結果をフィードバックする場面の会話分析: 質疑応答の困難」
3.田辺 肇 「統計的因果分析:近年注目されている統計的因果分析の考え方を検討する」
4.五十嵐 靖博(山野美容芸術短期大学)「日常生活のなかのディスコース分析:理論心理学と批判心理学の立場から」

参加費:無料
主催:日本心理学会批判心理学研究会
参加を希望される方は下記のグーグルフォームから,前日までに申し込んでください.
https://forms.gle/djakDjDcwfPHJ2Ds6

*学生のみなさんの参加を大歓迎します!

 

2024年8月10日 (土)

批判心理学セッションのプログラム:9月22日,午後1時開始

 批判心理学セッションのプログラムをお知らせします.
 批判心理学に関心をお持ちの方は,どなたでも参加できます.前日までに申し込んでください.
 参加費はかかりません.

第29回批判心理学セッション
日時:9月22日(日),午後1時開始
開催形式:Zoomによるオンライン開催
第1部 講演
1.田邉 尚樹(目白大学)「近代日本教育学史における元良勇次郎の新心理学」

第2部 話題提供
1.鈴木 聡志(東京農業大学)「令和4年版『生徒指導提要』における脱心理学化」
2.増田 匡裕(和歌山県立医科大学)「The 40th Q-conference
で実地見分して帰ってきて1週間、Q方法論の批判心理学的可能性について再考する」

参加費:無料
主催:日本心理学会批判心理学研究会
参加を希望される方は下記のグーグルフォームから,前日までに申し込んでください.
https://forms.gle/JikUCFPMqudfneRJ8

*学生のみなさんの参加を大歓迎します!

 

 

2024年8月 6日 (火)

9月22日に批判心理学セッションが開かれます!

次回の批判心理学セッションは9月22日(日曜)に開かれます.
午後1時,開始です.

プログラムが決まり次第,お知らせします.
面白い企画になりそうです!

 

 

 

2024年3月26日 (火)

5月4日に批判心理学セッションが開かれます!

 5月4日に批判心理学セッションが開かれます.
 批判心理学に関心をお持ちの方は,どなたでも参加できます.

第28回批判心理学セッション

日時:5月4日(土),午後1時開始

開催形式:Zoomによるオンライン開催

発表者と発表タイトル
1.粟屋 南(東京大学大学院総合文化研究科)「病因論における無意識の概念史:1880年代フランスの催眠論争から『ヒステリー研究』まで」

2.田辺 肇(静岡大学)「心理学論入門一歩手前:近代的・心理学的人間観・世界観に基づく心理学の認識論的錯節を概論にて頭の体操と称してかみ砕いて提示してみる」

3.増田 匡裕(和歌山県立医科大学)「医学部1年生必修の“心理学実習”で社会学・社会言語学的方法論“会話分析”を教えることの、批判心理学的な意義」

4.五十嵐 靖博(山野美容芸術短期大学)「志賀原発の安全性をめぐるディスコース:新聞記事を例として」

参加費:無料

主催:日本心理学会批判心理学研究会

参加を希望される方は下記のグーグルフォームから,前日までに申し込んでくだ
さい.
https://forms.gle/i5qVGKPgd4n4A6868

*学生のみなさんの参加を大歓迎します!

 

 

2023年12月10日 (日)

批判心理学セッションが2月18日に開かれます.

 批判心理学セッションが2月18日(日)に開かれます.
 午後1時から始まります.批判心理学に関心をおもちの方は是非,ご参加ください.
 参加費は必要ありません.

第27回批判心理学セッション
日時:2月18日(日),午後1時開始

開催形式:Zoomによるオンライン開催

発表者と発表タイトル
1.相川 真穂(橋本財団ソシエタス総合研究所)「集団間関係研究の批判的考察:どの「集団」の視点が反映されているか?」

2.増田 匡裕(和歌山県立医科大学)「Q方法論を用いたシャーロキアンの認知構造の分析: 同床異夢の全60篇なれども呉越同舟にはあらず」

参加費:無料

主催:日本心理学会批判心理学研究会

参加を希望される方は下記のグーグルフォームから,前日までに申し込んでください.
https://forms.gle/pe26ya9T1zaDoXA38

*学生のみなさんの参加を大歓迎します!
*少人数でテーブルを囲んで討議するようなスタイルです.初めに簡単に自己紹介をお願いします.

2023年9月 6日 (水)

プログラムの変更:批判心理学セッション(10月21日開催)

 10月21日(土)に批判心理学セッションが開催されます.
 下記をご覧ください.
 予定されていた発表が1件,キャンセルされました.

 下記が最新のプログラムです.

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第26回批判心理学セッション


日時:10月21日(土),午前10時開始


開催形式:Zoomによるオンライン開催


発表者と発表タイトル

1.秋本 倫子(東洋英和女学院大学)「新型コロナワクチンをめぐって」


2.五十嵐 靖博(山野美容芸術短期大学)「福島第1原発の『処理水』をめぐるディスコース:批判心理学の視点」


参加費:無料


主催:日本心理学会批判心理学研究会


*参加を希望される方は下記のグーグルフォームから,前日までに申し込んでください.

https://forms.gle/HFjATnsSPqq2VAy66

*学生のみなさんの参加を大歓迎します!


 

2023年8月 8日 (火)

次回の批判心理学セッションは10月21日に開かれます.

 次回の批判心理学セッションは,10月21日(土)に開かれます.
 午前10時,開始です.
 発表者や発表タイトルなど,詳細が決まり次第,当ブログでお知らせします.



 

2023年8月 4日 (金)

批判心理学を紹介する記事を書きました.

 この1,2年の間に日本でも批判心理学に対する関心が,高まってきているようです.
 特に心理療法や臨床心理学の領域で,それらが抱えている問題が自覚され「批判的」に取り組む必要がある,と考える専門家が増えたと体感しています.

 批判心理学について,かねて「難しい」「分かりにくい」「批判だなんて,なんだかコワい」といった声を聞いたことがあります.研究の主題や目的,研究方法論,理論的資源,社会的実践への適用などあまりに多様なことが,その一因だと考えられます.

 そこで心理学のメタ学問である理論心理学の視点から,批判心理学を解説する記事を書きました.
 心理系出版社,金子書房のnoteに掲載されています.

・批判心理学への招待:心理学化した新自由主義社会における研究と人間の福祉【前編】
https://www.note.kanekoshobo.co.jp/n/nd9331e88f8c0
・批判心理学への招待:心理学化した新自由主義社会における研究と人間の福祉【後編】
 (https://www.note.kanekoshobo.co.jp/n/ncc58ba42a09a

 

2023年6月 1日 (木)

批判心理学セッションが7月23日に開催されます!

 7月23日(日曜)に,25回目の批判心理学セッションが開催されます.
 発表者は和田香織先生(カルガリー大学,カナダ)です.
 いつもとは異なり,午前10時(日本時間)に開会します.ご注意ください.
   参加費は必要ありません.


第25回批判心理学セッション
日時:7月23日(日),午前10時開始

開催形式:Zoomによるオンライン開催

発表者
和田 香織(カルガリー大学)「医療化される悲嘆:正常と異常の線引きをめぐる考察」

発表要旨
 ICD-11とDSM-5-TRの最新改訂版において,「遷延性悲嘆障害」(複雑性悲嘆)が正式に採用された.これにより,「正常」とみなされない悲嘆や喪失反応が精神疾患して分類されることになった.しかしその一方で,「正常」な悲嘆とは具体的にどのようなものであり,それは誰にとっての「正常」なのか.悲嘆が疾患として概念化されることで,どのような社会的な影響が生じるのか.本発表では,疾患概念の社会的構築性や悲嘆の文化的な規範に着目しつつ,悲嘆の医療化の矛盾や諸要素を解きほぐす.

参加費:無料

主催:日本心理学会批判心理学研究会

参加方法:下記のグーグルフォームから,前日までに申し込んでください.
https://forms.gle/iBse1RTEDigTVN6S8

*学生のみなさんの参加を大歓迎します!
*少人数でテーブルを囲んで討議するようなスタイルです.初めに簡単に自己紹介をお願いします

 

 



2023年3月23日 (木)

批判心理学セッションのプログラム:5月27日開催

5月27日に開催される批判心理学セッションのプログラムをお知らせします.
今回も意欲的な研究報告が3本,そろいました!
批判心理学に関心をお持ちの方は,どなたでも参加できます.

第24回批判心理学セッション

日時:5月27日(土),午後1時開始

開催形式:Zoomによるオンライン開催

発表者と発表タイトル
1.栗田 季佳(三重大学)「差別の心理学に向けて:心理学の理論と実践を振り返る」

2.増田 匡裕(和歌山県立医科大学)「Q方法論は心理学に帰れるか」

3.五十嵐 靖博(山野美容芸術短期大学)「臨床心理学・心理療法における批判心理学的アプローチ」

参加費:無料

主催:日本心理学会批判心理学研究会

参加を希望される方は下記のグーグルフォームから,前日までにお申し込みくだ
さい.
https://forms.gle/2XU1fXnNvb1ht6GT8


2023年3月 2日 (木)

シンポジウム:「科学的」な心理学は客観的で普遍的で価値中立的なのだろうか?(日本心理療法統合学会第3回学術大会)

 3月18日に開催される日本心理療法統合学会第3回大会において,批判心理学の立場から「『科学的』な心理学は客観的で普遍的で価値中立的なのだろうか?」という,学問の根幹にかかわる問題を論じるシンポジウムが開催されます.

シンポジウム 「科学的」な心理学は客観的で普遍的で価値中立的なのだろうか?
企画者:杉原 保史(京都大学)
司会者:茅野 綾子(国立がん研究センター)
話題提供者:五十嵐 靖博(山野美容芸術短期大学)
話題提供者:和田 香織(カルガリー大学)

シンポジウムの概要
 「心理療法やその背後にある心理学は「客観的で普遍的な科学であり、文化や価値からは独立したものである」という見方がある。このような見方は、「心理療法は科学的な知見に導かれて普遍的な仕方で適用されうるものだ」という考えを導きやすい。
 他方、心理学や心理療法は文化に埋め込まれたものであり、心理療法は文化的実践だという見方もある。もしそうであるならば、心理療法の基礎にある心理学を普遍的に正しいとする見方に基づく心理療法の実践は、クライエントの文化を否定することになり、クライエントを害してしまう危険性があるということになる。
 心理療法の統合においては、心理療法を個々のクライエントに適合させることが重要な関心事である。それゆえ「『科学的』な心理学は客観的で普遍的で価値中立的なのか?」という問いは心理療法の統合にとって非常に重要なものである。
 心理療法の多くは欧米文化圏において発展してきたため、暗黙のうちに欧米文化における主流の価値が反映されている可能性がある。心理支援の領域においては、特にフェミニスト・カウンセリング、多文化間カウンセリング、社会正義カウンセリングにおいて、こうした可能性が深く考察されてきた。心理支援に限定せず、心理学全体に目を向けてみると、批判心理学は、主流の心理学が「客観的で科学的な人間一般の心理学」のよそおいのもとで、特定の文化的価値を自然化し,人々にときにマイナスの影響を及ぼす可能性に注目し、それを乗り越えるための議論を重ねてきた。
 本シンポジウムでは、杉原の趣旨説明の後、五十嵐は批判心理学の観点から、和田は社会正義アプローチの観点から、それぞれ話題提供する。その上で、みなさんと一緒にこの問いについて考えてみたい。」

 このシンポジウムはオンサイト(会場は神奈川大学横浜キャンパス3号館,16時30分から18時まで)と動画配信のハイブリッド形式で開催されます.
 2名の話題提供者は,ともに批判心理学者です.
 おもに心理療法を実践する大会参加者のみなさんに,批判心理学の多様な視座(たとえば批判的理論心理学や社会正義アプローチ)から,問題提起や情報提供を行いたいと考えています.

 参加を希望される方は,日本心理療法統合学会第3回大会のウェブサイト(https://jspi.fjss.jp/)をご参照ください.





2023年2月24日 (金)

5月27日に批判心理学セッションが開催されます!

次回の批判心理学セッションは,5月27日(土)に開かれます.
午後1時,開始です.
批判心理学に関心をお持ちの方は,どなたでも参加できます.参加費はかかりません.

発表の申し込みも受け付けています.
現在,心理学が抱えている問題に取り組む研究や心理臨床実践,社会的実践,心理学教育などを主題とする発表を大歓迎します.

当ブログ開設者にご連絡ください.


 

 

2023年1月10日 (火)

批判心理学セッションのプログラム:2月18日開催

 2月18日に批判心理学セッションが開催されます.午後1時開始です.
 批判心理学に関心をおもちの方は,どなたでも参加できます.

 以下,プログラムを掲載します.


第23回批判心理学セッション


日時:2月18日(土),午後1時開始


開催形式:Zoomによるオンライン開催


発表者と発表タイトル

1.今道友昭(ニューヨーク市立大学)「アイデンティティーのバイナリーとノンバイナリーの批判心理学」


2.増田匡裕(和歌山県立医科大学)「“Commonality”は測定可能なものなのか、可能ならばどう測定するか。」


3.五十嵐靖博(山野美容芸術短期大学)「原子力発電所事故の批判心理学:『次世代革新炉』にかかわるディスコース」


参加費:無料


主催:日本心理学会批判心理学研究会


参加を希望される方は下記のグーグルフォームから,前日までにお申し込みください.

https://forms.gle/3sEzq9KtKhGmzquV9

*途中参加・部分参加も可能です.

*学生のみなさんの参加を大歓迎します!

*少人数でテーブルを囲んで討議するスタイルです.初めに簡単に自己紹介をお願いします.

 

 

2022年11月10日 (木)

次回の批判心理学セッションは2月18日です.

 次回の批判心理学セッションは,2月18日(土)に開かれます.
 ZOOMによるオンライン開催です.
 午後1時,開始です.

 批判心理学に関心をお持ちの方は,どなたでも参加できます.

 また,発表を希望される方は当ブログ開設者にお知らせください.
 参加者の間で交わされる討議から,きっと前向きで建設的,かつ「批判的」な刺激を得られることでしょう.


2022年9月17日 (土)

行動分析学と社会の関係を問うシンポジウム:10月2日開催

 日本行動分析学会第40回大会において,「行動分析学と社会」を主題として両者の関係を問うシンポジウムが開催されます.

 欧米や日本など心理学化が進んだ社会では,心理学と社会の関係は心理学史研究者や科学史研究者の重要な研究主題になりました.
 心理学が産出した専門用語や概念,心理検査,セラピーなどの「心理学的生産物」が様々な社会セクターで用いられ,日本社会で生きる人々の生活や主観性に浸透しています.心理学が私たちに与えている影響や作用を知り,心理学とうまく付き合うことが今日の日本社会に「適応」する条件のひとつになっているのです.

 上記のシンポジウムでは心理学史に加えて理論心理学,批判心理学の視点から行動分析学者とともに,今日の日本社会における行動分析学と社会の関係を討議します.
 10月2日の午前9時,開始です.

大会実行委員会企画シンポジウム
「行動分析学と社会:社会と日常生活の心理学化が進行する時代をどう考えるか」
企画者:五十嵐靖博(山野美容芸術短期大学)・麦島剛(福岡県立大学)・吉野俊彦(神戸親和女子大学)
話題提供1:五十嵐靖博(山野美容芸術短期大学) 【理論心理学からみた行動分析学と社会】
話題提供2:森山哲美(常磐大学) 【行動分析学と社会の溝はどうしたら埋められるか?】
話題提供3:三田地真実(星槎大学) 【行動分析学を社会に広めるための三層モデルの提案】
指定討論:吉野俊彦(神戸親和女子大学) 
司会:麦島剛(福岡県立大学)

 シンポジウムは北九州市のJR小倉駅にほど近い,西日本総合展示場新館/アジア太平洋インポートマート(AIM)にて開催されます.インターネットによるライブ配信は行われませんが,大会への参加申し込みを行った方は後日,シンポジウムの動画を視聴できます.

 詳細は日本行動分析学会第40回大会のウェブサイトをご参照ください.
  https://j-aba.jp/meeting/2022/index.html

批判心理学セッションのプログラム:11月6日開催

 11月6日に批判心理学セッションが開催されます.
 プログラムは下記のとおりです.
 批判心理学に関心をお持ちの方は,どなたでも参加できます.

第22回 批判心理学セッション
日時:11月6日(日),午後1時開始
開催形式:Zoomによるオンライン開催

発表者と発表タイトル
1. 荒尾 貞一(北里大学)「私のテキストマイニング事始め:1977年版中学校学
習指導要領社会科地理,歴史,公民の教育目標をブルームの教育目標の分類学を
用いて分析してみた」
2. 増田 匡裕(和歌山県立医科大学)「“質的・量的・混合”というより“ノンバイ
ナリー”をどこまで認めるかが批判心理学だろう」
3. 五十嵐 靖博(山野美容芸術短期大学)「2022年現在の国際批判心理学運動と
日常生活のなかの微視的批判心理学運動」

参加費:無料
主催:日本心理学会 批判心理学研究会
参加を希望される方は下記のグーグルフォームから,前日までにお申し込みくだ
さい.
https://forms.gle/7b4ZngfQuRBu7UWt6


 

2022年8月 7日 (日)

次回の批判心理学セッションは11月6日です!

 次回の批判心理学セッションは11月6日(日)に開かれます!

 ZOOMによるオンライン開催です.
 午後1時,開始です.
 批判心理学に関心をお持ちの方は,どなたでも参加できます.学生の皆さん,心理学を専門としていない方を歓迎します.

 参加を希望される方は,当ブログ開設者にお問い合わせください.
 発表者も募集しています.理論的研究,実践研究,心理学教育にかんする研究など,発表テーマに制約はありません.
 発表も討議への参加も,無料です.

 

 

 

2022年7月31日 (日)

バンドン批判心理学会議(8月4~6日)

 バンドン批判心理学会議が8月4日から6日まで,オンラインで開催されます.
 1955年にインドネシアのバンドンで開催されたアジア・アフリカ会議(バンドン会議)は,第2次大戦後の激しい東西冷戦の時代に米ソ両陣営のいずれにも与しない,独立した第3の立場を世界史の舞台で確立しました.

 バンドン批判心理学会議はこの「バンドン精神」を,欧米の心理学が主導する現在の心理学界において体現しています.
 21世紀に活発になった国際批判心理学運動も,欧米の批判心理学者が主導してきました.

 近年,南側諸国で発展する批判心理学の重要性が認識され,この立場から東アジア批判心理学会議(2020,東京)やアフリカ・アジア批判心理学会議(2022,オンライン開催)が開催されました.
 バンドン批判心理学会議はこれらを受けて,パジャジャラン大学(インドネシア)の心理学者によって企画されました.心理学において西洋とは異なる多様な視座が重視される時代が到来したことが,改めて感じられます.

 パジャジャラン大学の心理学者が東アジア批判心理学会議に参加して培ったネットワークが,バンドン批判心理学会議を生み出しました.
 (東アジア批判心理学会議の運営に関わったひとりとして,うれしい限りです!)

 下記のサイトから,会議への参加を申し込むことができます.参加費は無料です.
 使用言語は英語です.プログラムも掲載されています.
 トマス・テオ(カナダ)やイアン・パーカー(イギリス),エリカ・バーマン(イギリス)など著名な研究者の講演も無料で聴けます.
 https://bit.ly/BOC2022RegForm

 今,世界各地で多様なかたちで発展する批判心理学を知る格好の機会です!
 (私も社会,文化と心理学に関するシンポジウムに登壇します.)
    Boc-2022

 

2022年7月16日 (土)

批判心理学セッションのプログラム

 7月30日に批判心理学セッションが開催されます.
 プログラムをお知らせします.
 ZOOMによるオンライン開催です.批判心理学に関心をお持ちの方は,どなたでも参加できます.
 参加費は無料です.

 

第21回批判心理学セッション

日時:7月30日(土),午後1時開始

開催形式:Zoomによるオンライン開催

発表者と発表タイトル
1.荒尾 貞一(北里大学)「名古屋市『子宮頸がん予防接種調査』自由記載のテキストマイニングから見えた接種群,非接種群の群分けへの疑義」

2.増田 匡裕(和歌山県立医科大学)「Q技法が測定するのは個人か社会か」

3.田辺 肇(静岡大学)
・「欠損データ処理についてDonald B. Rubinの提唱したものを中心とした近年 標準的とされる解析手法について概要を確認し、議論してみよう」
・「公認心理師養成大学教員連絡協議会が公認心理師教育コアカリキュラム案な るものを提示しているので概要を確認し、議論してみよう」

参加費:無料

主催:日本心理学会批判心理学研究会

参加を希望される方は下記のグーグルフォームから,前日までにお申し込みください.

https://docs.google.com/forms/d/1PQg5yZ537WJEEQmsphlkw8yWsN7q9h6eZ0DPS8x6pi4/edit?hl=JA

*途中参加・部分参加も可能です.

*学生のみなさんの参加を大歓迎します!

*少人数でテーブルを囲んで討議するスタイルです.初めに簡単に自己紹介をお願いします.

 





 

2022年5月 7日 (土)

批判心理学セッションが7月30日に開催されます!

 7月30日(土)に批判心理学セッションが開かれます.
 ZOOMによるオンライン開催です.
 午後1時,開始です.

 発表を希望される方は,当ブログ開設者にお問い合わせください.
 発表も討議への参加も,無料です.

 

 

2022年2月21日 (月)

批判心理学セッションのプログラム:3月27日開催

 3月27日に批判心理学セッションが開催されます.
 午後1時からZOOMを用いて,オンラインで開催されます.

 批判心理学に関心をお持ちの方なら,どなたでも参加できます.参加費は無料です.
 下記のグーグルフォームで参加の申し込みを受け付けています.


第20回批判心理学セッション

日時:3月27日(日),午後1時開始

開催形式:Zoomによるオンライン開催

発表者と発表タイトル
1.鈴木 聡志(東京農業大学)「主体性のディスコース分析」
2.増田 匡裕(和歌山県立医科大学)「Q-methodologyの方法論から考える構成主
義と構築主義」
3.いとう たけひこ(和光大学)「批判心理学的観点から見たある研究者の歩み」

参加費:無料

主催者:日本心理学会 批判心理学研究会

参加を希望される方は下記のグーグルフォームから,前日までにお申し込みくだ
さい.
https://forms.gle/m9pVyTX2sLeTm2T39

*途中参加・部分参加も可能です.
*学生のみなさんの参加を大歓迎します!
*少人数でテーブルを囲んで討議するスタイルです.初めに簡単に自己紹介をお
願いします.

 

 

2022年1月27日 (木)

2021年にアメリカ心理学会でもっとも注目を集めた10論文

 コロナ禍のなかで新しい生活様式が模索されるなど,さまざまな変化が起きた2021年.
 心理学者はどのような研究を行っていたのでしょうか?

 アメリカ心理学会(APA)が2021年に注目を集めた10本の論文を発表しました(https://www.apa.org/monitor/2022/01/top-journal-articles).
 APAが刊行する89のジャーナルに掲載された5000本以上の中から,最も多くダウンロードされた10本の論文は下記のとおりです.
 アメリカ心理学の動向や,社会における心理学への関心のあり方がうかがえます.

1.大学生が経験する新型コロナウィルスによる困難:学業と社会‐感情面への影響
著者:Tasso, A. F., Hisli Sahin, N., San Roman, G. J.
掲載誌:Psychological Trauma: Theory, Research, Practice, and Policy (Vol. 13, No. 1)

2.新型コロナウィルスと職場:その影響と課題,さらなる研究と行動のための洞察
著者:Kniffin, K. M., Narayanan, J., Anseel, F., Antonakis, J., Ashford, S. P., Bakker, A. B., Bamberger, P., Bapuji, H. Bhave, D. P., Choi, V. K., Creary, S. J., Demerouti, E., Flynn, F. J., Gelfand, M. J., Greer, L. L., Johns, G., Kesebir, S., Klein, P. G., Lee, S. Y., Ozcelik, H., Petriglieri, J. L., Rothbard, N. P., Rudolph, C. W., Shaw, J. D., Sirola, N., Wanberg, C. R., Whillans, A., Wilmot, M. P., Vugt, M.
掲載誌:American Psychologist (Vol. 76, No. 1)

3.外見とソーシャルメディアの詳細な検討:活動性,自己呈示と社会的比較,それらの感情的適応との関係
著者:Zimmer-Gembeck, M. J., Hawes, T., Pariz, J.
掲載誌:Psychology of Popular Media (Vol. 10, No. 1)

4.社会的孤立は新しいものではない:コロナ禍における大学生の心理学的悲嘆に関する長期的研究(以前からあったメンタルヘルスの問題との関係)
著者:Hamza, C. A., Ewing, L., Heath, N. L., Goldstein, A. L.
掲載誌:Canadian Psychology (Vol. 62, No. 1)

5.移行期の若者の対人的トラウマに対するトラウマに焦点をおく認知行動療法(TF-CBT)
著者:Peters, W., Rice, S., Cohen, J., Murray, L., Schley, C., Alvarez-Jimenez, M., Bendall, S.
掲載誌:Theory, Research, Practice, and Policy (Vol. 13, No. 3)

6.思春期の若者の日常生活におけるソーシャルメディアの利用と友人関係の親密さ:体験サンプリング研究
著者:Pouwels, J. L., Valkenburg, P. M., Beyens, I., van Driel, I. I., Keijsers, L.
掲載誌:Developmental Psychology (Vol. 57, No. 2)

7.インスタグラムはみな,影響をもつのか(Every (Insta)gram counts?):若者のボディイメージに対するインスタグラムの効果を検討するためにカルティベーション理論を適用する
著者:Stein, J.-P., Krause, E., Ohler, P.
掲載誌:Pouwels, J. L., Valkenburg, P. M., Beyens, I., van Driel, I. I., Keijsers, L.

8.非言語的な過重負担:ZOOM疲労の原因の理論的討議
著者:Bailenson, J. N.
掲載誌:Technology, Mind, and Behavior (Vol. 2, No. 1)

9.新型コロナウィルスが感染爆発する状況におけるコーピング:心の健康と生活の質との関係
著者:Shamblaw, A. L., Rumas, R. L., Best, M. W.
掲載誌:Canadian Psychology (Vol. 62, No. 1)

10.反応的動機づけ面接(responsive motivational interviewing)を,全般性不安障害の認知行動療法と統合する:対人的行動への直接,間接の効果
著者:Muir, H. J., Constantino, M. J., Coyne, A. E., Westra, H. A., Antony, M. M.
掲載誌:Journal of Psychotherapy Integration (Vol. 31, No. 1)

 メンタルヘルスに関する論文が多いことに,気づかれたでしょうか.
 APAでは臨床心理学や心理療法を職業として実践する「プロフェッショナル・サイコロジスト」が,大きな勢力をもっています.

 同じアメリカの心理学会でもAPS(Association for Psychological Science )では,より「科学的心理学研究」が重んじられています.APSの2021年のトップ10論文を,下記のサイトが紹介しています.
 Bilingual Children, Jealous Dogs, and Gender Stereotypes: Our Most Impactful Articles in 2021
(https://www.psychologicalscience.org/publications/observer/obsonline/top-10-2021.html)


 

 

2022年1月20日 (木)

心理学における社会構成主義

 心を研究するには心とは何か,心をどのようにして研究できるか,という心理学の哲学に関する問題について,ひとつの立場をとる必要があります.心理学の学派やパラダイムはそれぞれ,こうした哲学的立場をとっています.
 19世紀の最後の四半世紀の間に「現代心理学」が成立したころから,心理学界では複数の学派やパラダイムが並立してきました.何をどのようにして研究するか,心理学研究の在り方をこれらが方向づけています.
 今日でも認知行動主義や精神分析,人間性心理学,ユング心理学,行動分析など多くのアプローチが併存しています.

 近年,心理学の新たなアプローチに社会構成主義が加わりました.一般に心理学は人間の心に関する普遍的な知識をもたらす学問だ,と考えられています.特に自然科学にならって実験室実験や大規模な質問紙調査などの量的研究を重んじる「科学的心理学」では,心理学が「普遍的な人間一般の心理学」であることが自明視されています.

 しかし文化や社会や言語が異なると,心を記述する用語や概念も異なることがあります.心に関する知識や理論に,これらが影響することは明らかでしょう.
 社会構成主義は心理学が生み出す知識が,特定の文化や価値観や利益関心をもつ人々によって集合的に作り出されるものだ,という視点から,心理学研究やそれが生み出した「心理学的生産物」(専門用語や理論,心理検査,心理療法など)の社会における適用を再検討し,よりよい心理学を目指しています.

 日本における社会構成主義的心理学の動向を知るには,下記がお薦めです.

 能智正博・大橋靖史編 2021「ソーシャル・コンストラクショニズムと対人支援の心理学:理論・研究・実践のために」.新曜社(https://www.shin-yo-sha.co.jp/book/b597285.html)

 
 批判心理学と理論心理学の立場から,私も1章を寄稿しました.

     ソーシャル・コンストラクショニズムと対人支援の心理学

 

 

 

 

 

2021年11月15日 (月)

【開催日が変更されました!】次回の批判心理学セッションは,3月27日に開かれます.

 次回の批判心理学セッションは,3月27日(日曜)に開かれます.
 当初,2月27日(日曜)に予定されていましたが,開催日が変更されました.

 ZOOMによるオンライン開催です.
 午後1時開始です.研究発表と討議の後,懇親会も予定しています.

 批判心理学に関心をお持ちの方なら,どなたでも参加できます.
 また,発表も募集しています.
 発表を希望される方は,当ブログ開設者にご連絡ください.

 

 

 

 

2021年11月 7日 (日)

アフリカ‐アジア批判心理学会議が来年5月に開催されます!

 アフリカ‐アジア批判心理学会議が,2022年5月4日から6日にオンラインで開催されます.

 欧米の心理学者によって生み出された批判心理学は,21世紀に入るとゼロ年代の後半から欧米以外の南側諸国の心理学者によって新たな発展の段階を迎えました.
 19世紀後半に成立した「現代心理学」は,「普遍的な人間一般の心理学」だと考えられています.しかし欧米の心理学者が主導してきたため,欧米の文化や価値観が「普遍的な人間一般の心理学」に影響を及ぼしていることは否めません.

 欧米とは異なる文化や価値観をもつ国・地域で活動する心理学者が,北米やヨーロッパの心理学に対して異議を申し立てるようになったことは,ある意味では自然な流れだと言えます.
 特に20世紀末以来,新自由主義のもとで欧米の心理学がグローバル・サウスへいっそう広められると,欧米の心理学の新植民地主義的性質に注目が集まりました.
 この視点から今,批判心理学が探究されているのです.

 アフリカ‐アジア批判心理学会議はそうした新たな発展の一例です.
 発表の申し込みの締め切りは12月15日です.オンライン開催です.
 日本にいながら参加でき,アフリカやアジアの心理学者と交流をもつ格好のチャンスです.

 詳細は下記のウェブサイトをご覧ください.
 Afro-Asian Critical Psychology Conference 4th – 6th May 2021
 https://afroasiancriticalpsychology.wordpress.com/?fbclid=IwAR2gkI1Mzx9Txab6wxBb1dpypyrYeZ7zH9dMqxOFqoi5zdaQlmxOg0Pumec

  


 

 

2021年10月12日 (火)

11月14日に批判心理学セッションが開かれます!

11月14日に批判心理学セッションが開かれます!
午後1時,開始です.

第19回批判心理学セッション
日時:11月14日(日),午後1時開始
開催形式:Zoomによるオンライン開催

発表者と発表タイトル
1.いとう たけひこ(和光大学)「批判心理学におけるHITY法の活用」
2.増田 匡裕(和歌山県立医科大学)「Q技法が見出す“オペラントな主観性”の“コミュニカビリティ”とは何か」 
3.五十嵐 靖博(山野美容芸術短期大学)「『批判心理学とは何だろうか』という問題を再考する」

参加費:無料
主催者:日本心理学会 批判心理学研究会
参加を希望される方は,下記のグーグルフォームからお申し込みください.
https://forms.gle/Ah2mKHGwmRUeULDSA

*前日までにお申し込みください.
*少人数でテーブルを囲んで討議するスタイルです.初めにひと言,自己紹介をお願いします.
*学生のみなさんの参加を大歓迎します!
*途中参加・部分参加も可能です.


 

 

2021年8月24日 (火)

次回の批判心理学セッションは11月14日に開催されます!

次回の批判心理学セッションは,11月14日(日)に開かれます.
ZOOMによるオンライン開催です.
午後1時,開始です.

批判心理学は多様です.理論的研究,心理臨床や教育や社会活動の実践研究など,批判心理学にかかわる多様な研究を批判心理学セッションで発表しませんか?
きっと批判的,かつ前向きで建設的な意見や提案を得られることでしょう!
批判心理学セッションはおそらく、日本で唯一の批判心理学を討議するフォーラムです.

発表を希望される方は,当ブログ開設者にお知らせください.

 

2021年8月 1日 (日)

批判心理学セッションが8月15日に開かれます!

8月15日(日)に批判心理学セッションが,オンラインで開催されます.

ニューヨーク市立大学(CUNY)は北米で,もっとも批判心理学が盛んな大学のひとつです.
参加型アクションリサーチによって,黒人やヒスパニック系などエスニックマイノリティの現実の生活経験を研究し,貧困や差別などの社会問題に取り組む研究がよく知られています.
最初の報告はCUNYにおける批判心理学の研究や教育が主題です.

ふだんより1時間早く,午後1時開始です.

第18回批判心理学セッション
日時:8月15日(日),午後1時開会
開催形式:Zoomによるオンライン開催

発表者と発表タイトル
1.今道友昭(ニューヨーク市立大学)「CUNYにおける批判心理学」
2.増田匡裕(和歌山県立医科大学)「意味構造の分析法を用いれば批判的社会心理学と言えるのか:Q技法再考」 
3.百合草禎二(常葉大学名誉教授・主体科学としての心理学研究所)「エンパワーメント概念とジュリンアン・ラパポート(コミュニティ心理学):私たちが言葉にであうとき」

参加費:無料
主催者:日本心理学会 批判心理学研究会参加を希望される方は下記のグーグルフォームから,前日までにお申し込みください.
https://forms.gle/gUZfG9U7BkzZbMgC8
*ご参加をお待ちいたします.途中参加・部分参加も可能です.
*学生のみなさんの参加を大歓迎します!
*少人数でテーブルを囲んで討議するスタイルです.初めに簡単に自己紹介をお願いします.

 

2021年5月15日 (土)

批判心理学セッションのプログラム:5月30日開催

第17回批判心理学セッションのお知らせ

 批判心理学に関するさまざまな研究を共有し討議する批判心理学セッションが,5月30日に開かれます.Zoomによるオンライン開催です.
   批判心理学に関心をお持ちの方はどなたでも参加できます.参加費は不要です.

 国内で批判心理学について専門的に討議できるフォーラムは,おそらく他にありません.初めての方も歓迎いたします!


第17回批判心理学セッション
日時:5月30日(日),午後2時開会

開催形式:Zoomによるオンライン開催

発表者と発表タイトル
1.五十嵐靖博(山野美容芸術短期大学)「“帰還困難区域でないにも関わらず,いまだ避難指示が続いている区域”:福島原発事故報道に関する1人称の感情体験のディスコース分析」

2.いとうたけひこ(和光大学)「米国心理学会投稿マニュアル第7版(2020)の新基準JARS:質的研究者VS量的研究者の和解と連携のために」 

3.増田匡裕(和歌山県立医科大学)「対人コミュニケーション研究には30年前の文化心理学的自己観は無用;90年代の文化心理学ならColeの方が有用.では,どう使うか」

参加費:無料

主催:批判心理学研究会

*参加を希望される方は,下記のグーグルフォームからお申し込みください.
https://docs.google.com/forms/d/e/1FAIpQLSdJJ59akcX02yAtN6evKNN9ksMz7k0JPNbS2SbcrYkNQZokdw/viewform

 

 

 

2021年3月22日 (月)

次回の批判心理学セッションは5月30日です!

 次回の批判心理学セッションは5月30日(日曜),午後2時開始です.
 ZOOMによるオンライン開催です.

 現在,心理学が抱えている問題に取り組む多様な発表を募集しています.4月30日までに当ブログ開設者に,発表タイトルをお知 らせください.

 心理学の研究,心理臨床実践,教育,学会・学界活動,社会的実践などに取り組む中で心理学が抱えている問題を自覚する例は少なくありません.
 心を専門的に研究する学問をより良いものにするために,あなたが気づいた問題に共に取り組みましょう!
 

 

 

 

 

2021年2月18日 (木)

批判心理学セッションのプログラム:3月14日開催

 3月14日に開かれる批判心理学セッションのプログラムをお知らせします.

 今回の目玉は,Tin Tin Htunさん(中央大学)によるエスニックマイノリティの立場からみた日本における批判心理学的実践に関する報告です.英語での発表となりますが,他では聴くことのできない貴重な研究をうかがう機会です.

 Zoomによるオンライン開催です.参加費は不要です.

第16回批判心理学セッション
日時:3月14日(日),午後2時開会
開催形式:Zoomによるオンライン開催
発表者と発表タイトル
1.Tin Tin Htun(中央大学)「Teaching Critical Psychology: Critical Psychology Practice in the Classroom」
2.増田 匡裕(和歌山県立医科大学)「埋もれていたコミュニケーション論のキーワード“prolepsis”を活用する」 
3.五十嵐 靖博(山野美容芸術短期大学)「“帰還困難区域でないにも関わらず,いまだ避難指示が続いている区域”:福島原発事故報道にかかわる1人称の感情体験のディスコース分析」
参加費:無料
主催:日本心理学会 批判心理学研究会

*Tin Tin Htunさんの発表と質疑応答は英語で行われます.日本語通訳はつきませんのでご注意ください.

*参加ご希望の方は下記のグーグルフォームよりお申し込みください.
 <https://forms.gle/YEsoT5BJUVyBrKaF7>

 

 



 

 

2021年1月 7日 (木)

イギリスの大学が批判心理学者を公募しています.

 イギリスのリーズ・ベケット大学が批判心理学を専門とする教員を公募しています.

 同大学の社会科学部に所属し,批判心理学を教育と研究に実践する職位(シニア・レクチュラー イン クリティカル・サイコロジー)です.
 年俸は44,045ポンドから51,034ポンドとのこと.
 今後もイギリスでは批判心理学者を求める大学が増えそうです.

 詳細については,下記のウェブサイトをご覧ください.
  Leeds Becket tUniversity – Job Description
  (https://vacancies.leedsbeckett.ac.uk/trent_uploads/REQ0000489.pdf)

 

 

 

2020年12月27日 (日)

次回の批判心理学セッションは3月14日,オンライン開催です.

 昨日,15回目の批判心理学セッションが開かれました.
 初めてのオンライン開催でしたが,5時間にわたって刺激的な話題提供と活発な討議が行われました.西日本や北米など,遠方からの参加者もあり,インターネットを介した研究集会に新たな可能性を感じました.
 ご参加いただいた皆さん,お疲れ様でした.

 次回の批判心理学セッションは来年,3月14日(日曜)の午後2時からオンラインで開催されます.
 発表を希望される方は,当ブログ開設者にご連絡ください.

 下記は昨日のセッションのプログラムです.

批判心理学セッション15
日時:12月26日,午後2時から
開催形式:Zoomによるオンライン開催
発表者と発表タイトル:
 1.柘植 道子(一橋大学)「日本におけるセクシュアル・マイノリティと心理学:可視化され不可視化されるマイノリティ」
 2.増田 匡裕(和歌山県立医科大学)「パーソナル・コンストラクト・セオリーから見た共同主観性としての類似性仮説」
 3.五十嵐 靖博(山野美容芸術短期大学)「新型コロナウィルス問題の批判心理学:メタ学問的批判心理学の立場から」
参加費:無料
主催:日本心理学会 批判心理学研究会

 

 

2020年12月12日 (土)

心理学教育に文化的多様性やインターセクショナリティの視点を取り入れるには

 一般に大学などで行われている心理学教育では,心理学は「心と行動の科学」だと教えられています.
 そこで講じられているのは「人間の普遍的な科学的心理学」であり,文化や社会階層やジェンダーやエスニシティやセクシュアリティなどの差異を越えて,全ての人間の心や行動に適用できる心理学だとする立場です.

 しかし心理学研究や心理臨床実践などに取り組むなかで,個々の人が生きる状況の多様性や上で述べた社会階層やジェンダー,エスニシティ,セクシャリティなどの諸条件が交差する場(インターセクショナリティ)で現実の生を送る個人の経験が捉えられていない,と感じることがしばしばあります.

 近年,アメリカでも心理学教育でこうした問題に取り組む研究者が現れました.
 人種のるつぼやサラダボールといわれるアメリカで,文化的多様性やさまざまなマイノリティの立場からの心理学教育が重要だ,と心理学者が考えるようになるのは自然な流れでしょう.むしろ遅きに失した感があります.

 「主流心理学」を制度的に担うアメリカ心理学会の出版局から刊行された次の一冊は,そうした変化を感じさせる一例です.
 「多文化主義とインターセクショナリティを心理学のカリキュラムに取り入れる;教師のための諸方略(Integrating Multiculturalism and Intersectionality Into the Psychology Curriculum:Strategies for Instructors)」,
Jasmine A. Mena・Kathryn Quina(編),アメリカ心理学会出版局,2019



 下に同書の目次をお示しします.
 私自身は,旧知のカナダの心理学史研究者による批判的心理学史研究を教育に活用した実践を報告した1章「批判的,多声的な心理学史を教育する:多様性の開明」(ケリー・ヴァン‐ジョンソンとアレクサンドラ・ラザフォード)を,大いに楽しみました.

Introduction (Jasmine A. Mena and Kathryn Quina)

I. Multiculturalism and Intersectionality in the Psychology Classroom
・From an Intersectional Perspective: An Overview (Brittney Poindexter and Kathryn Quina)
・Developing a Culturally Competent and Inclusive Curriculum: A Comprehensive Framework for Teaching Multicultural Psychology (Annemarie Vaccaro)
・Racial Microaggressions and Difficult Dialogues in the Classroom (Tammy Vargas Warner)

II. Gender, Ethnic, and Sociocultural Perspectives: Specialized Courses and Content Areas
・Who Is the Woman in the Psychology of Women? Addressing Diversity and Intersectionality
(Beverly J. Goodwin, Camille J. Interligi, Ashley E. Kasardo, Maureen C. McHugh, and Andrea D. Poet)
・Intersectionality in Teaching the Psychology of Men (Christopher Kilmartin)
・Integrating Lesbian, Gay, Bisexual, Transgender, and Queer Issues in the Psychology Curriculum (Jacqueline S. Weinstock)
・Psychology of Asian Americans (Connie S. Chan and Kattalina Berriochoa)
・Teaching Africana Psychology (Lisa Whitten, Halford H. Fairchild, and Harriette W. Richard)
・Teaching Latinx Psychology (Jasmine A. Mena and Melba J. T. Vásquez)
・Weaving American Indian and Alaska Native Topics Into the Psychology Curriculum (Joseph E. Trimble and Gayle Skawen:nio Morse)
・Intersections Among Religion, Culture, Gender, and Mental Health (Kate Miriam Loewenthal)
・Disability as an Intersectional Diversity Variable in the Psychology Curriculum (Julie L. Williams)
・Teaching About Poverty and Social Class: Fostering Class Consciousness  (Heather E. Bullock and Bernice Lott)
・Teaching Cultural and Transnational Psychology: Taking Intersectionality Across the Globe (Lynn H. Collins)
・Nontraditional Students: Multigenerational, Multilocational, and Multicultural (Mary Zahm and Kathryn Quina)

III. Integrating Diversity Into General Psychology Courses
・The Introductory Psychology Course From a More Diverse Human Perspective (Su L. Boatright-Horowitz, Savannah McSheffrey, Marisa E. Marraccini, and Yvette Harps-Logan)
・Teaching Personality and Abnormal Psychology With Inclusivity (Alice W. Cheng, Kathy McCloskey, and Mala L. Matacin
T)
・Teaching Developmental Psychology: Celebrating the Dialectics of Development (Kathleen S. Gorman and Celeste M. Caviness)
・Overcoming Student Defensiveness in Social Psychology Courses: A Collaborative Workshop for Discussing Privilege and Prejudice (Andrea L. Dottolo)
・Multicultural Considerations in the Psychology Research Methods Course (Jasmine A. Mena, Nathan E. Cook, and Kathryn Quina)
・Teaching Biopsychology: Multicultural Findings and Implications (Lisa Weyandt, Danielle R. Oster, Bergljot Gyda Gudmundsdottir, and Meghan Lamarre Rinaldi-Young)
・Teaching Critical, Multivocal Histories of Psychology: Uncovering Diversity  (Kelli Vaughn-Johnson and Alexandra Rutherford)

IV. Including Social Determinants of Health Disparities in Health Psychology  (Colleen A. Redding and Miryam Yusufov)
・Diversity Education in Professional Psychology (Kathleen A. Malloy, Julie L. Williams, LaTrelle D. Jackson, Janeece R. Warfield, and Steven Kniffley)

 Cover of Integrating Multiculturalism and Intersectionality Into the Psychology Curriculum (medium)

 
 



 

2020年12月10日 (木)

批判心理学セッション:オンライン開催のお知らせ

 お待たせしました!
 15回目の批判心理学セッションが12月26日,Zoomを用いてオンラインで開催されます.

 今回のセッションでは,LGBTQ+心理学やパーソナル・コンストラクト理論,新型コロナウィルス問題の批判心理学的考察に関する研究が報告されます.

 今,心理学がかかえている様々な問題に取り組む批判心理学に関心をお持ちの方は,どなたでも参加できます.
 問題の解決を目指して前向きに学び,討議しましょう!
 参加費は無料です.

批判心理学セッション15
日時:12月26日,午後2時から
開催形式:Zoomによるオンライン開催
発表者と発表タイトル:
 1.柘植 道子(一橋大学)「日本におけるセクシュアル・マイノリティと心理学:可視化され不可視化されるマイノリティ」
 2.増田 匡裕(和歌山県立医科大学)「パーソナル・コンストラクト・セオリーから見た共同主観性としての類似性仮説」
 3.五十嵐 靖博(山野美容芸術短期大学)「新型コロナウィルス問題の批判心理学:メタ学問的批判心理学の立場から」
参加費:無料
主催:日本心理学会 批判心理学研究会

 

 


 参加を希望される方は当ブログ開設者にご連絡ください.
 ZoomミーティングのID等をお知らせします.




 

 

2020年10月24日 (土)

求む!革新的な質的心理学研究法:「心理学の研究法」誌の特集号

 「心理学の研究法(Methods in Psychology)」誌が特集「質的研究のイノベーション」の刊行を目指して,論文を募集しています.
 質的心理学者だけでなく,心理学に関心をもつ幅広い読者を対象として,この特集が企画されました.
 
 関心をおもちの方は下のサイトをご覧ください.投稿の締め切りが11月末まで延長されました.
 特集号に論文を刊行するために,掲載料はかかりません.
 Special Issue: Innovations in Qualitative Research
  https://www.journals.elsevier.com/methods-in-psychology/call-for-papers/special-issue-title-innovations-in-qualitative-research

 「心理学の研究法(Methods in Psychology)」誌は心理学の研究法やそれを支える理論,研究用のデータや資料の分析方法などの探究を通して,新しい心理学研究の発展を志向しています.

 同誌の中心を担うケリー・チェンバレン(Kerry Chamberlain)教授は,1990年代からマセイ大学(ニュージーランド)を拠点に批判健康心理学を構築してきました.
 昨年,創刊されたこのジャーナルも,心理学に変化をもたらそうとする活動の一環なのでしょう.
 陰ながら成功を祈っています.

 チェンバレン教授による下記の編著もおすすめです.
 健康心理学における質的研究や批判心理学的アプローチのテキストとして,世界各地で読み継がれてきました.
 Qualitative Health Psychology: Theories and Methods(Sage社)
 Health Psychology: A Critical Introduction(Cambridge University Press)









 

2020年10月18日 (日)

貧困と不平等の問題に取り組む研究者の公募:イギリスの例

 コロナ禍が私たちの日常生活に大きな影響を及ぼすようになってから,すでに半年以上がたちました.
 その影響は以前から日本社会の周縁で貧困や差別に苦しんできた,マイノリティや弱者の立場にある人たちにより過酷な現実を突きつけています.

 貧困や差別や格差に関する研究が今,日本心理学が取り組むべき課題ではないかとあらためて考えていたところ,イギリスから研究ポストを公募する知らせが届きました. 

 グラスゴー・カルドニアン大学の「スコットランド貧困と不平等研究ユニット」が,社会科学の立場から貧困と不平等の問題に取り組む研究者を公募しています.
 下記のウェブサイトをご覧ください.
  Scottish Poverty & Inequality Research Unit at Glasgow Caledonian University
  (https://www.gcu.ac.uk/gsbs/research/spiru/)

 1年の任期付きのポストですが,ここでの研究をへてさらにプロジェクトを発展させるべく制度設計されているようです.
 経済的貧困や社会的不平等について,心理学の立場から様々な切り口で研究を行えます.

 日本でもこうした研究への助成が今後,増えるといいですね.



2020年9月 7日 (月)

批判心理学・カウンセリング・心理療法ジャーナルを購読しましょう!

 批判心理学のおもな専門誌のひとつとして知られる「批判心理学・カウンセリング・心理療法ジャーナル(Journal of Critical Psychology, Counselling and Psychotherapy)」が,発行元をエガリタリアン出版に替え,再出発しました.

 同誌は批判心理学に関する研究を幅広く掲載する重要な学術誌です.
 年に4回,刊行されます.
 個人で講読する場合,年間購読料は40ポンド(約5600円)です.過去にこのジャーナルに刊行された論文をウェブ上で閲覧できる特典付きです.
 図書館などが購読する場合は150ポンド(約21000円)です.

 批判心理学を広く知るため,この機会に購読をおすすめします.
 下記のサイトに詳しい情報が記載されています.
  https://www.egalitarianpublishing.com/jcpcp.html



2020年8月29日 (土)

心理学のデコロナイゼーション:フェミニズム&サイコロジー誌の特集号

 心理学の「デコロナイゼーション(脱植民地化)」と聞いて,どう思われるでしょうか.
 心理学と植民地,脱植民地化など,何やら政治的で科学である心理学にはふさわしくない,という印象を抱く人も多いことでしょう.

 しかし,心理学の脱植民地化は21世紀における心理学史の新展開や批判心理学に関心をもつ研究者にとって,重要な研究主題です.それは近い将来,心理学の針路を左右しうる深刻な問題だと考えられています.

 19世紀後半に現代心理学が生まれ,今日,私たちの眼前にあるものへと発展する軌道に乗ってから,西洋心理学(第2次大戦以降は特にアメリカ心理学)が「客観的な人間一般の科学的心理学」だと考えられてきました.
 しかし現在,それが「北側先進国の,特に西洋の白人の,中流階級の,社会の主流にある人々の心理学」ではないかという問いが,南側諸国の心理学者や社会の主流に属さないマイノリティや抑圧されてきた人々から問い掛けられています.

 フェミニズム&サイコロジー誌の特集号「心理学のデコロナイゼーション」は,その最近の現れのひとつです.
 南側諸国のフェミニスト心理学者やLGBTQ+心理学の当事者であるフェミニスト心理学者などの研究によって,「欧米の白人による主流フェミニスト心理学」とは異なるアプローチの必要性が明らかになりました.
 女性であること,経済的,政治的,文化的勢力において北側に従属する南側の住民であること,性的マイノリティであることなどの諸要因が交差するインターセクショナリティが抑圧や貧困のような現実の問題を理解する鍵概念です.

 この特集号の巻頭論文がインターネット上で公開されています.
 Feminisms and decolonising psychology: Possibilities and challenges
    by Catriona Ida Macleod, Sunil Bhatia, Wen Liu (https://doi.org/10.1177/0959353520932810)
    (https://journals.sagepub.com/doi/full/10.1177/0959353520932810)

 
    Issues



 

 

 

 

2020年8月20日 (木)

アクロン大学心理学史センターがアシスタント・ディレクターを公募しています.

 アメリカのアクロン大学(オハイオ州,アクロン市)は心理学史に関心をもつ人々に,心理学史の研究拠点として知られています.
 同大学心理学史センターのウェブサイト(https://www.uakron.edu/chp/)には,心理学史に関する有用な情報が多数掲載されています.

 アメリカ心理学史アーカイブや心理学ナショナル・ミュージアムを運営する同大学カミングス心理学史センターが,アシスタント・ディレクターを公募しています.
 フルタイムの常勤職です.給与は職歴等を考慮して決められるそうです.
 詳細は下のウェブサイトをご覧ください.
  Job Title:Assistant Director(https://www.uakron.edu/hr/job-openings/openings.dot?fbclid=IwAR2WlPMaBETTybSBmyrOk6Rybon1xwgGl4iJEElXJiZ0VxdYBuvS89ZQT6w)

 長年,アクロン大学心理学史センター長として心理学史アーカイブの発展と心理学ミュージアムの創設のために尽力されたデイビッド・ベイカー教授が6月に引退されました.アシスタント・ディレクターとしてベイカー教授を支えてきたキャシー・フェイ博士が後任のセンター長に就きました. 
(ベイカー先生,長いあいだ,ありがとうございました!)
 今回の公募人事はフェイ博士の後任を採用するものです.

 アクロン大学心理学史センターの副ディレクターの職域は心理学史の研究や教育,公共への情報発信など多方面にわたり,心理学と心理学史研究の発展に寄与する重要な役割を果たしえます.
 どなたか,応募しませんか?


 以前,当ブログでアメリカ心理学ミュージアムを取りあげました.
 よろしければご笑覧ください.
  アメリカ心理学ミュージアムの展示施設がオープンしました(http://critical-psychology.cocolog-nifty.com/blog/2018/07/post-cfcc.html






   

  

2020年8月14日 (金)

批判心理学ジャーナルの創刊号

  批判心理学の新ジャーナル,「アライ(Awry):批判心理学ジャーナル(Awry: Journal of Critical Psychology )」の第1号が刊行されました.
 アライ(Awry)は聞きなれない言葉ですが,「斜めに」といった意味の英単語です.ジジェクの著書「斜めから見る:大衆文化を通してラカン理論へ (Looking Awry: An introduction to Jacques Lacan through popular culture」(1991)から想を得て,新ジャーナルのタイトルがつけられました.
 論文の投稿にも,論文を読むのにも費用はかかりません.論文はインターネットで公開されています.本当の意味でオープンアクセス・ジャーナルだと言えます(https://awryjcp.com/index.php/awry).

 新雑誌の発刊は世界の批判心理学者の間で,話題になっています.
 批判心理学に関心をお持ちの方におすすめです.


 創刊号に収録された論文は下記のとおりです.

1.Michael Arfken:Critical Psychology in an Age of Uncertainty

2.Ian Parker:Psychology Through Critical Auto-Ethnography: Instituting Education

3.Meghan George, Susannah Mulvale, Tal Davidson, Jacy Young, Alexandra Rutherford:Disrupting Androcentrism in Social Psychology Textbooks : A Call for Critical Reflexivity

4.David Fryer, Charles Marley, Rose Stambe:The Reproduction of Compliant Labour Power Through (Re)Constitution of the Child and Adult Subject: Critical Knowledge-Work

5.Peiwei Li, Tyler Banks:Understanding and Theorizing the Pursuit of Intersubjective Recognition

6.Nia Phillips:The Influence of Critical Consciousness-Based Education on Identity Content and Perceptions of Sexism

7.Antonio Euzébios Filho, Raquel Souza Lobo Guzzo:What Do Young Brazilian Students Think About Socialism? Class-Consciousness Past, Present and Future
Reviews

8.Emese Ilyes:Psychology Through Critical Auto-Ethnography: Academic Discipline, Professional Practice and Reflexive History by Ian Parker

AWRY Journal of Critical Psychology


2020年7月21日 (火)

ソーンダイク会館の名称変更:差別思想を理由としたコロンビア大学ティーチャーズカレッジの決断

「心理学史のなかの英雄」としてのソーンダイク
 教育心理学の創始者のひとりとして,また「教育測定運動の父」として知られるアメリカの心理学者,ソーンダイク(Edward Lee Thorndike,1874-1949).
 学習心理学では「問題箱」を用い,ネコを被験体とした研究でみいだした「ソーンダイクの効果の法則」で有名です.行動主義や新行動主義の時代に心理学界をリードした動物実験による「生活体の心理学」を19世紀末に始めた先駆者です.
 特定の種の動物の心ではなく,ヒトを含む生活体一般の心を動物実験を行って研究した最初の心理学者と心理学史のなかでて位置づけられます.

 こうした業績によってG.S.ホールやJ.M.キャッテルなどどともに,19世紀末から20世紀前半のアメリカ心理学史に名を刻む「英雄的心理学者」と評価されています.
 日本でも心理学を学んだことのある人や,教員免許を取得するために教育心理学の科目を履修した人にお馴染みの名前でしょう.

 ソーンダイクが長年,研究と教育に取り組んだニューヨークのコロンビア大学ティーチャーズカレッジは,彼の功績を讃えて50年ほど前に同カレッジの主要な建物のひとつを「E.L.ソーンダイク・ホール」と命名しました.
 ソーンダイクの名声を考えれば,意外なことではありません.


ソーンダイク・ホールの名称変更:根深い差別思想
 しかし2020年7月15日に同カレッジの理事会と学長が連名で,ソーンダイクが優生学の擁護者であり人種主義的,性差別的,反ユダヤ主義的思想を抱いていたことが確認されたため,キャンパス内の「ソーンダイク・ホール」から彼の名を除くことを決めた,と発表しました.
 心理学や教育測定における彼の業績への評価は変わらないが,彼の思想が普遍性や公正さを重んじる同カレッジの教育理念にそぐわない,とされています.

 詳細はコロンビア大学ティーチャーズカレッジのプレス・リリースをご覧ください.
 https://www.tc.columbia.edu/articles/2020/july/important-announcement-from-the-president--chair-of-the-board-of-trustees/

 
 日本人女性で初めて心理学を専攻して博士号を取得した原口鶴子(1886-1915)を,コロンビア大学大学院で指導したソーンダイク.
 20世紀初頭に原口が単身,ニューヨークに赴きコロンビア大学に留学して不慣れな英語での授業に臨むと,指導教授であるソーンダイクが親切に処遇したと聞いていたので,上のニュースは私には意外でした.当時,日本では女性が高等教育を受ける道はほとんど閉ざされていましたが,ソーンダイクは始めから原口は博士課程に入学すべきだ,と心理学を志す彼女を後押ししました.

 しかしソーンダイクのように19世紀の後半から20世紀前半の時代を生きた,アメリカの白人の中流階級の男性が今日の道徳的基準からみて,人種主義的で性差別主義的で反ユダヤ的な思想を抱いていた,優性思想を支持していたということはありそうな話だ,とも思われます.
 19世紀から20世紀のアメリカ心理学界を主導した多くの心理学者が,今日の倫理観や価値観から振り返ると差別的な思想を抱いていた例を,心理学史研究者が報告しています.

  批判心理学史のヒストリオグラフィ(歴史主義)の立場からみると,同時代の文化や政治経済,社会的条件のもとでソーンダイクの立場を理解することが大切です.中流階級に属する同時代のアメリカの白人男性と比べて,ソーンダイクの思想が際立って差別的なものだったのか,一考の余地があります.

 しかし「歴史的偉業」で知られる人物の評価は,時代によって変わります.過去の時代に問題視されなかった差別的思想が,価値観や権力関係が変わった後の時代に批判的検討の対象になるのも当然のことです.歴史をみる見方はその時代の価値観や社会情勢の影響のもとで変わっていくものです.
 人種思想にもとづく差別や抑圧は人道に反し,人間の基本的な権利や幸福を毀損するため,決して容認することはできません.

 ソーンダイクが学術と教育の領域で大きな功績を残した著名な研究者だからこそ,今,その思想の公正さや普遍性が問われているのでしょう.
 ミネアポリスで黒人男性が警官によって殺害された事件の後,BLM(黒人の命も大事)運動がいっそう活発になりました.
 アメリカ社会に深く根差す構造的人種差別に改めて注目が集まり,これに反対する活動が人種や民族の壁を越えて広く支持を集めるようになった時代に,私たちはさらに多くの同様の事例を知ることになるかもしれません.

 批判心理学や心理学史研究,心理学のメタ学問である理論心理学を専門とする研究者には,コロナ禍のもとで差別や格差や貧困などの構造的問題がいっそう深刻になった同時代の世界の状況と心理学が密接に関連していると見えます.
 私を含めて心理学者がこの状況を的確に知解可能にできるかどうか,問われています.


<追記>
 原口鶴子の事績について以前,当ブログに記載しました.
 原口が夭折する不幸が起こらず研究と教育を続けていれば,日本の心理学界の景色は今とはいくらか,変わっていたかもしれません.
 関心をお持ちの方はご覧ください.

 映画『心理学者 原口鶴子の青春 100年前のコロンビア大留学生が伝えたかったこと』 泉 悦子監督(2007年)
 (http://critical-psychology.cocolog-nifty.com/blog/2015/01/post-3f35.html)










 

 

2020年6月24日 (水)

心理学史研究の新しいエンサイクロペディア

 心理学史研究の新しい成果を集めたエンサイクロペディアが最近,発行されました.

 Wade Pickren(編)「オックスフォード心理学史エンサイクロペディア(The Oxford Encyclopedia of the History of Psychology)」
 https://oxfordre.com/psychology/page/psych-history/the-oxford-encyclopedia-of-the-history-of-psychology

 世界各地で現在,歴史家が取り組む心理学史研究がひとつにまとめられています.
 「心理学史の歴史」(Adrian C. Brock),「インターセクショナリティと心理学史」 (Alexandra Rutherford, Tal Davidson),「心理学と抑圧」(Wahbie Long),「ルネサンスから20世紀までの自己の資源」(Elwin Hofman)など,面白そうなタイトルをもつ章が並んでいます.

 心理学史に関心をもつ人におすすめです.
 しかし,このエンサイクロペディアを利用するには,版元に定額を支払ってサブスクライブするか,チャプターごとに購入する必要があり,使いかってはよくありません.
 詳細は上記のサイトをご覧ください.

 大学など所属先がある方は,大学図書館に利用できるよう依頼されるとよいのではないでしょうか.



 

 

2020年6月 2日 (火)

グローバル危機の心理学:YouTubeで視聴しましょう

 「グローバル危機の心理学」に関するバーチャル国際会議は,2500名以上の参加者が集う一大フォーラムになりました.
 文字通り,世界中からこの会議にあつまった基調講演者と口頭発表者とオーディエンスが,新型コロナウィルス問題など現在,私たちが経験している共通の問題を熱心に討議しました.

 基調講演者には国際的に著名な批判心理学者や社会構成主義者が多数,含まれています.
 日本からも2件の基調講演と複数の口頭発表が行われました.

 私もこの国際会議の運営委員を務めたのですが,日本から世界の聴衆に向けて,学問の発展やよりよい社会を築くために,意義ある発信をなしえたと思います.
 (4月から遠隔授業の準備や原稿の締め切りに追われて忙しく,かなり大変でした.でもこの仕事をしてよかった,と実感しています.)

Youtubeで基調講演や口頭発表を視聴できます.是非,活用してください.
  Keynotes at #PGC2020
(https://crisistalk.net/keynotes/)


2020年5月18日 (月)

まもなく開会しますーグローバル・クライシスの心理学:オンライン国際会議

 まもなく「グローバル・クライシスの心理学」に関するオンライン国際会議が開幕します.
 多くの著名な心理学者を含む60余名の基調講演者が登壇します.日本の状況を踏まえた基調講演もふたつ,予定されています.
 
 1500名の研究者がこの国際会議に集います.現在,世界各地で同時に進行している「グローバル・クライシス」を,心理学がどのように捉えているかを知る格好の機会です.
 是非,この機会をご活用ください.参加費は無料です.

グローバル・クライシスの心理学:国家による監視,連帯,日常生活
日時:2020年5月20‐30日

開催地:バーチャル(すべてのセッションはオンラインで実施されます)

発表申し込みの締切り:2020年5月10日

参加費:無料

公式ウェブサイト:https://www.aup.edu/psychology-global-crises

Registration_flyer

 

 

2020年4月17日 (金)

グローバル・クライシスの心理学:オンライン国際会議のお知らせ

 新型コロナウィルスが世界で猛威を振るい,私たちの生活に大きな影響を与えています.
 感染を抑制するために「社会的距離をとる」ことが求められ,人とモノの動きが減って経済活動も文化活動も縮小しています.

 私たちが現在,経験している困難は世界で同時に進行している’グローバル・クライシス’の一部であり,世界各地で生活を送る人がそれぞれの文脈で経験している問題と通底しているのです.
 特に北側諸国において弱い立場にある人が,南側諸国では大多数の人がいっそうの困難を今,受忍しています.

 コロナ禍はすでに多くの人の心と生活に様々な影響を及ぼしていますが,今後,どこまでそれが拡大するか,現時点で確かな見通しを得ることはできません.問題に取り組む過程で私たちの生活と社会のあり方が大きく変わりゆく可能性もあります.

 こうした事態を前にしてパリ・アメリカ大学の批判心理学者,Martin Dege博士を中心とする研究者集団が「グローバル・クライシスの心理学」をテーマとして,バーチャル国際会議を開きます.
 リーマンショック後の国際金融危機と緊縮財政政策,地球温暖化,ヨーロッパや南北アメリカにおける「移民の危機」,情報技術とAIの発展による監視社会の到来など,私たちが経験しているグローバル・クライシスを考察する格好の機会です.


グローバル・クライシスの心理学:国家による監視,連帯,日常生活
日時:2020年5月20‐30日

開催地:バーチャル(すべてのセッションはオンラインで実施されます)

発表申し込みの締切り:2020年5月10日

参加費:無料

公式ウェブサイト:https://www.aup.edu/psychology-global-crises/call-submissions


下記のテーマやその他の幅広いテーマに関する発表を募集しています.関心をお持ちの方は公式ウェブサイトをご覧ください.
・危機,犠牲者,権力闘争
・危機の中の行為可能性(エージェンシー)とアクティビスム
・健康と不平等
・どのようにして危機は政治へと実装されるか
・危機の時代における連帯
・ナショナリズムと危機
・危機の概念の歴史と系譜学
・危機の哲学
・グローバル化と地政学

Call-for-submissions_pdf

ダウンロード - call20for20submissions_pdf.pdf

 

 










2020年4月 3日 (金)

4月11日の批判心理学セッションは延期です

 4月11日に15回目の批判心理学セッションが予定されていました.
 しかし,新型コロナウィルスによる感染が拡大しているため,5月以降に延期することになりました.

 新しい日程を遠からず,お知らせいたします.

 みなさん,御身大切になさってください.




2020年3月30日 (月)

アメリカ心理学会のコロナ禍対策が日本語で公開されました:心理学の可能性と課題

 新型コロナウィルス問題が私たちの日常生活に大きな影響を与えています.
 この事態に直面して,心理学は何を為しうるでしょうか.

 アメリカ心理学会が米国民に向けてウェブ上で公開したコロナ禍対策が,日本心理学会によって翻訳され公式ウェブサイトに掲載されました.
 感染を防ぐために外出が禁止され,「社会的距離をとる」よう求められている事態で生じうる心理的影響への対処法を提言しています.

「もしも「距離を保つ」ことを求められたなら:あなた自身の安全のために(Keeping Your Distance to Stay Safe)」
(https://psych.or.jp/about/Keeping_Your_Distance_to_Stay_Safe_jp/#L1h-1_ub1)

 日本心理学会のこの活動を朝日新聞が報道しました(3月22日).

「長くなる在宅,心の健康保つ秘訣は? 米心理学会が伝授」
(https://digital.asahi.com/articles/ASN3M7J2XN3MPLBJ001.html?iref=pc_ss_date)


 朝日新聞の報道では,コロナ禍による自宅待機への対処法として「「この感染症に関する信頼できる情報を得る」「日々のルーティンを作って実行する」「電話やSNSなどを活用したバーチャルなつながりを保つ」「自分の力では変えることのできない状況を受け入れるため『感謝の日記』をつける」などをアメリカ心理学会が推奨している,と述べられています.

 報道に接して私が最初に抱いた感慨は,心理学が心という誰にとっても馴染み深い対象を研究する点で,ユニークな学問だということです.
 上記を含めて理論心理学と批判心理学の立場から,念頭に浮かんだ考えを記します.

心=専門家が占有しない対象を研究する心理学
 上の新聞報道に記載されたコロナ禍対策には,専門家でなくても考えつきそうなものが多い,と私には思われます.もちろんアメリカ心理学会が公開した元の記事を読むと,専門用語を用いてよりプロフェショナルらしく書かれています.
 しかし煎じ詰めると,多分に常識的な内容だと感じます.専門家は一般の人々が知らないことを教えてくれそうですが,そうした内容が少ないと思うからです.
 これは心理学者の怠慢というより元来,心が私たちの誰もが日々,経験していてよく知っているものだからでしょう.専門家でなくてもよく知られている研究対象をもつ心理学はユニークな学問です.

心理学化
 アメリカ心理学会がこうした記事を米国民に向けて発信し,日本心理学会がそれを翻訳してウェブ上で公開したことは,コロナ禍のような重大な社会的課題に心理学が積極的に関与する時代が既に到来していることを示しています.
 日本で全国紙がそれを報道したことと合わせて,心理学が社会に広く流布した「心理学化」の時代のただなかに私たちがいることを,改めて実感しました.

アメリカ化の影響
 日本ではアメリカよりも数週間早く,新型コロナウィルスによる感染症が大きな問題になっていました.しかし,日本心理学会がこの問題について,社会に向けて発信することはありませんでした.
 今回,日本心理学会がアメリカ心理学会のウェブ記事を邦訳して公開したことは,第2次大戦後の日本心理学のアメリカ化を示す一例でしょう.日本社会を脅かす大問題を目の前にしたときでも,アメリカ心理学会の跡に従う道を歩んでいるのです.

 しかし新型コロナウィルス対策について,アメリカと日本では社会的,文化的条件が異なるかもしれません.
 たとえば感染防止のために人との接触を低減する(社会的距離をとる)には,罰則を伴う強制が有効なのでしょうか.あるいは,集団が共有する規範に訴えて行動の変容を促す施策が効果を発揮するのでしょうか.
 日本で活動する心理学者の視点から,コロナ禍問題を研究する必要がありそうです.

社会的視点の希薄さ
 ともあれ,アメリカと日本で心理学の立場から重大な社会課題に取り組む発言がなされたことは,一歩前進です.
 しかし心と社会の関係を考える視点がまだ希薄だ,と批判心理学者の目に映ります.

 たとえば「社会的距離をとる」ことに伴うおもな問題は,アメリカにおける健康保険や有給病気休暇の制度的不備,経済的格差が健康格差を引き起こしていること,低収入による生活難や心的な不健康です.感染を防ぐために「社会的距離をとる」行動や治療のために病院で受診する行動が行われる社会的文脈も考えなければなりません.
 こうした問題が改善されなければ,ウェブ記事の主題である心の健康を実現することはできません.

 日本心理学会による翻訳記事も,このことに触れていません.
 心理学はやはり,大きな課題に直面しているのではないでしょうか.

 

 

2020年2月20日 (木)

東アジア批判心理学会議のプログラム

 東アジア批判心理学会議(2020 Critical Psychology Conference in East Asia)が近づいてきました.
 今月29日,3月1日に和光大学で開催されます.

 プログラムが下記のウェブサイトで公開されています.
 https://2020criticalpsychologytokyo.jimdofree.com/

  次のリンクからスケジュールを閲覧できます.
  ダウンロード - 17200220202020revised20preliminary20schedule2020cpcea.pdf

  
    Itou2002201 

 

2020年1月27日 (月)

次の批判心理学セッションは,4月11日に開かれます

 4月11日(土)に,15回目の批判心理学セッションが開かれます.

 発表を希望される方は,当ブログ開設者にお知らせください.

 

 おととい,14回目のセッションが開かれました.
 発表と質疑応答と懇親会での会話から,私は多くを学びました.
 参加された皆さん,どうもありがとうございました.

 下は14回目のセッション のプログラムです.

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批判心理学セッション14

日時:1月25日,午後2時から

1.山本 登志哉(発達支援研究所)「裁判官と心理学者のディスコミュニケー

ション:対話的にその構造を分析する」(2)

2.百合草 禎二(主体科学としての心理学研究所)「バシリューク「体験から

祈りへ」(От переживания ― к молитве)を読む」

3.いとう たけひこ(和光大学)「原発避難者の語り」

主催:(公社)日本心理学会 批判心理学研究会

 

2020年1月 8日 (水)

批判心理学セッションのプログラム

 1月25日 に14回目の批判心理学セッションが開かれます.
 批判心理学に関心をおもちの方なら,どなたでも参加できます.
 参加費は無料です.

 批判心理学研究会が主催するこの「セッション」は,批判心理学について本格的な研究発表と討議を行う,おそらく日本で唯一のフォーラムです.
 

 

批判心理学セッション14

日時:1月25日,午後2時から

会場:静岡大学東京事務所.同事務所は東京工業大学キャンパス・イノベーションセンター内,6階612号室(エレベータを出て左側正面)

1.山本 登志哉(発達支援研究所)「裁判官と心理学者のディスコミュニケーション:対話的にその構造を分析する」(2)

2.百合草 禎二(主体科学としての心理学研究所)「バシリューク「体験から祈りへ」(От переживания ― к молитве)を読む」

3.いとう たけひこ(和光大学)「原発避難者の語り」

主催:(公社)日本心理学会 批判心理学研究会

参加費:無料

アクセス:JR山手線・京浜東北線,田町駅下車.芝浦口徒歩1分

所在地 : 〒108-0023 東京都港区芝浦3-3-6.

※当日,建物玄関ロビー等に開催掲示はありません.6階の612号室までお越し下さい.

2019年12月29日 (日)

トランプ大統領のアンガーマネジメント,ザギトワ選手の自分探し:2019年末の「心理学化」

 心理学の概念や専門用語や理論などが,日常的な言語使用に立ち現れる現象は「心理学化」のひとつの事例です.
 心理学化は,心理学が産出した知的産物が社会に流布したことを示すとともに,教育やビジネスや健康など社会の諸領域でどのような心理学知識・技術が求められているかを示唆しています.

 最近,マスメディアの報道に接して,理論心理学者・批判心理学者の目に留まった例をふたつ.


トランプ米大統領のアンガーマネジメント
 地球温暖化など気候変動への対処を政治経済界の指導者に求める運動を先導し,世界各地に広めたグレタ・トゥーンベリさん.タイムズ誌が2019年の「顔」に選出しました.

 すると,トランプ米大統領がツィッターに,
 「本当にばかげている.グレタは自分のアンガーマネジメント(怒りの制御)の問題に取り組まなきゃならない.それから友達と良い映画を見に行ってこい! 落ち着けグレタ,落ち着け!」と投稿しました.

 トランプ氏、グレタさんに「落ち着け」 映画見ればと皮肉(AFP通信,2019年12月13日)
 (https://www.afpbb.com/articles/-/3259334)

 アンガーマネジメントは近年,日本でも知られるようになりました.認知行動主義的なアプローチを用いて,個人の内部の怒りの過程を自分でコントロールするものです.
 過度の怒りの反応が自他にもたらす損失を自己コントロールによって低減できるなら,当人にも職場や学校など社会にとっても有益です.
 このためビジネスや教育などの現場で活用できる,という考えが北米で広まり普及しました.
 日本でも今後,いっそう活用されそうです.

 ところで,グレタさんに「忠告」したトランプ大統領は,政治集会や記者会見でしばしば,怒りや不満を露わにしています.本人は,自分では怒りをコントロールできている,と考えているのでしょうか?
 あるいは,ああした公的な場所での怒りの表出は,周到に計算された政治的パフォーマンスなのでしょうか?

ザギトワ選手の自分探し
 2018年,ピョンチャンで行われた冬季オリンピックのフィギュアスケート競技で金メダルを獲得したロシアのアリーナ・ザギトワ選手.愛らしい容姿も相まって,日本でも大人気です.

 12月,トリノで開かれたグランプリ・ファイナルで最下位に終わりました.
 すると今後の競技生活について,
 「スケートを続けるために,これからは調子の回復につとめる.自分探しの旅に出る.その後は…分かるでしょ」と語ったそうです.

 ザギトワ「自分探しの旅に出る」“引退報道”の真相を告白/フィギュア(サンスポ,2019年12月19日)
 (https://www.sanspo.com/sports/news/20191219/fgr19121917320007-n1.html)

 ロシア語でどのように「自分探し」について語ったのか,明らかでありません.が,日本の報道で「自分探し」という言葉が用いられたのは,この言葉が日本社会で広く普及しているからでしょう.
 「自己実現」や「自己アイデンティティ」のよりくだけた表現として,日本社会の中で「自分探し」が生まれ,前世紀末ころから広まりました.
 サッカー日本代表として若者の人気を集めた中田英寿選手が引退表明したときに,「自分探し」の旅に出ると述べたことを覚えている方も多いのではないでしょうか.

 誰にとっても「自分」は重要な関心の的ですが,それをどのようなものとして理解し考えるか,文化や社会が異なれば異なりえます.その際には自分を形容し概念化する言葉やカテゴリーが,陰に陽に「自分(自己)」についての考えに影響を及ぼしています.
 「自分探し」は20世紀末以降の日本社会の文化や社会状況,価値観などを背景として,既存の心理学的概念とかかわりながら生まれ,普及した言葉(概念)です.
 それを用いようとするニーズが社会とそこで生きる人々の中にあるのでしょう.だから「自分探し」は2020年も,広く用いられると予想されます.

 

 

 

2019年12月18日 (水)

1月25日に批判心理学セッションが開かれます.

 次回の批判心理学セッションは,1月25日(土)に開かれます.
 会場はこれまでと同じ静岡大学東京事務所,午後2時開始です.

 批判心理学に関心をおもちの方は,どなたでも参加できます.
 自由に,前向きに新しい研究について学び,討議しましょう!
 参加費は無料です.

 研究発表も募集しています.批判心理学の研究主題や目的や方法,理論的リソースは多様です.多様な研究の発表の場として是非,活用してください.

 当ブログ開設者に,気軽にご連絡ください.

 

 

 

2019年12月 8日 (日)

トッド・スローン教授のために:批判心理学・カウンセリング・心理療法ジャーナルの特集号

 批判心理学・カウンセリング・心理療法ジャーナルJournal of Critical Psychology,Counselling and Psychotherapyが,北米を代表する批判心理学者として知られるトッド・スローン教授(1952-2018)が成した研究を振り返り,再評価する特集を刊行しました.

 スローン教授は北米のパーソナリティ心理学やヨーロッパの批判心理学を深く理解したのち,ラテンアメリカにかかわる解放の心理学やコミュニティ心理学に取り組みました.
 ゼロ年代以降はアメリカのシアトル市に拠点をおき,ルイス&クラーク大学教授としてスローン博士が活動した同市のコミュニティにおいて格差や貧困や平和問題等,社会課題の解決をめざす心理学的実践を探究しました.
 また,多くの社会活動家と交流し,次世代の活動家の育成や支援に尽力しました.
 昨年12月に訃報が伝えらえると,多くの国・地域から早すぎる死を悼む声が寄せられました.

 この特集は世界各地でスローン教授と交流をもった研究者が,彼の仕事を考察しその知的遺産を継承する道を論じています.

Journal of Critical Psychology, Counselling and Psychotherapy (Volume 19, Number 4, December 2019)
Special issue : For Tod Sloan, Edited by David Fryer
-Editorial Tod Sloan :work in progress  (David Fryer)
-Tod Sloan’s Struggle  (Dennis Fox)
-Valediction for Tod  (John Kaye)
-An interview with Tod Sloan  (Wayne Dykstra and Tod Sloan)
-Tod Sloan (1952-2018)'s Micro Critical Psychology Movement: A view and memoir of a Japanese critical psychologist  (Yasuhiro Igarashi)
-Ghost Walks or Thoughtful Remembrance. How should the heritage of psychiatry be approached?  (Elisabeth Punzi)
-Against Humanism  (Grant Jeffrey)
-The Emergent Rebel:Tod Sloan’s legacy in critical psychology and beyond  (Creston Davis)
-Proposal for Courses and a Certificate at the Institute for Critical Psychology, -Global Center for Advanced Studies  (Tod Sloan)
-If You Are A Critical Psychologist, Read and Cite Tod Sloan  (Robert K Beshara)


 スローン教授が20年前に刊行した『批判心理学:変革を求める世界の声』は,20世紀末に始まった現代国際批判心理学運動の道標として世界の批判心理学者に知られ,必読文献のひとつになりました.
 当時,既存の心理学とは異なる批判的なアプローチを模索していた世界各地の心理学者に,多くの刺激を与えました.

 Sloan T (2000). Critical Psychology: voices for change. Basingstoke: Macmillan.

              Critical Psychology 


 私も20年近くの間,交流をもつ機会に恵まれ,「トッドさん」の仕事と生活の送り方から様々な刺激を受けました.こうした経験を記録し共有すべきと考え,上の特集に論文を投稿しました.
 スローン教授の事績について,詳しく知りたい方は下記をご参照ください.

Tod Sloan, Professor Emeritus (https://graduate.lclark.edu/live/profiles/248-tod-sloan)



2019年11月30日 (土)

CIAによるテロ容疑者への「強化尋問」を描いた映画:「ザ レポート」

 CIAによるテロ容疑者への過酷尋問を描いた映画「ザ レポート」がアメリカで公開され,話題になっています.
 日本でもAmzonプライムで視聴できるようになりました.日本語字幕付きです.

 2001年にアメリカを襲った9.11同時多発テロの直後にCIAが尋問技法を検討する場面から,2名の心理学者が「学習性絶望感」理論に基づく「強化尋問技法」をCIA幹部に提案する場面,凄惨な尋問(拷問)の実態,米上院情報委員会が調査を行って報告書を作成し,政治的駆け引きを経て報告書概要の公表に至る過程が描かれています.

 この公開された上院報告書(概要)で明らかになった数々の出来事から,作品の原案が作られました.
 ちょうど5年前の12月に公開されると,日本を含め世界各国で広く報道され,「CIAによる心理学的拷問」に非難の声があがり,アメリカ心理学とアメリカ心理学会のあり方に関心が集まりました.
 当時,このブログでもお伝えしました.
 「アメリカ上院がCIAの強化尋問技法(心理学的拷問)の効果を否定するレポートを公表しました」(http://critical-psychology.cocolog-nifty.com/blog/2014/12/post-545d.html)

 主演はアダム・ドライバー.スター・ウォーズのカイロ・レン役で有名になりました.
 上院インテリジェンス特別委員会委員長を務めるファインスタイン議員(民主党)のスタッフとして調査報告を指揮する役を演じています.
 同議員の他,CIAの長官やテロ対策センター長など政府機関の実在する当事者・関係者が作品の中で演じられています.

 タイトルの「レポート」は「拷問レポート」を意味しています.この映画のもとになった上院の報告書のほかに,CIAも自ら「過酷尋問」を検証する報告書を作成しました.
 しかし政府や議会が作成した米国の暗部を明かす報告書が,広く公開されることは稀です.この上院の報告書も全文ではなく,概要だけが公表されました.

  下のポスターではTortureという単語が,赤く塗りつぶされています.

     The Report(原題)



 「CIA拷問問題」に関心をお持ちの方にも,映画好きの方もおすすめです.
 ワシントンDCで激しい権力闘争が繰り広げられる,アメリカ政治の舞台裏を描いた政治ドラマとして楽しめます.

 「過酷尋問」を主導した2名の空軍出身の心理学者の振る舞いがあまりに酷いので,心理学に対する視聴者のイメージが悪化しそうです.
 幸か不幸か,この「CIAによる拷問」に加担したアメリカ心理学会の幹部たちは,映画には登場しません.空軍出身の臨床心理学博士はAPA幹部と会議をもち,情報交換を行っていました.(「学習性絶望感」やポジティブ心理学の提唱者として有名な元APA会長は,自宅で彼らやCIA幹部と会合をもっていたそうです.)

 「学習性絶望感」など「科学的心理学」にもとづき,国を守るために愛国者としてテロ容疑者を尋問したと主張する心理学者が,これほど醜く描かれた理由をあらためて考える必要がありそうです.

 当ブログでこの問題をたびたび,取り上げました.
  「CIAの拷問に加担した心理学者の罪:リフトンとの対話」(http://critical-psychology.cocolog-nifty.com/blog/2016/02/cia-96b6.html)
  「心理学的拷問を行った心理学者と被害者,CIA高官の宣誓供述ビデオ」(http://critical-psychology.cocolog-nifty.com/blog/2017/06/cia-aef7.html)
  「アメリカ心理学会とCIAと強化尋問技法(心理学的拷問)1
(http://critical-psychology.cocolog-nifty.com/blog/2015/05/cia-1e82.html)


    

 

 

 

2019年11月20日 (水)

12月15日に批判心理学セッションが開かれます

 13回目の批判心理学セッションが12月15日に開かれます.
 批判心理学にかかわる様々な主題について学び,討議する(おそらく日本で唯一の)貴重なフォーラムです.

 批判心理学に関心をお持ちの方は,どなたでも参加できます.
 参加費は無料です.


批判心理学セッション13

日時:12月15日,午後2時から

会場:静岡大学東京事務所.同事務所は東京工業大学キャンパス・イノベーションセンター内,6階612号室(エレベータを出て左側正面)

プログラム
1.いとう たけひこ(和光大学)「原発避難者の語り」

2.山本 登志哉(発達支援研究所)「裁判官と心理学者のディスコミュニケーション:対話的にその構造を分析する」

3.田辺 肇(静岡大学)「Semi-lay theories: How effectance shape our actions, beliefs, and constructs: the critical discussion on Tanabe & Tokuyama (2019) Model development to improve capabilities to cope with dissociation and affect dysregulation in a context of social care of children」

4.百合草 禎二(主体科学としての心理学研究所)「体験概念(переживания,Perezhivanie)の検討-エフ・イ・ヴァシリューク「体験概念の歴史について」(2013)とM.Cole(eds)「MCA Symposium on Perezhivanie(2016)を参考に- 」

5.増田 匡裕(和歌山県立医科大学)「パーソナル・コンストラクト理論による対人魅力の類似性仮説を蘇らせてみる」

主催:(公社)日本心理学会 批判心理学研究会

参加費:無料

アクセス:JR山手線・京浜東北線,田町駅下車.芝浦口徒歩1分(http://www.cictokyo.jp/access.html)
所在地 : 〒108-0023 東京都港区芝浦3-3-6.

※当日,建物玄関・ロビー等に開催掲示はありません.6階の612号室までお越し下さい.

 

 

 

2019年11月18日 (月)

アメリカの公共放送NPRが「エルサルバドルの虐殺」の30周年について報道しました:マルティン‐バロ(1942‐1989)の解放の心理学

 アメリカの公共放送 NPRが,1989年11月16日におきた「エルサルバドルの虐殺」から30年が経った機会に,生存者や目撃者など,当事者の声を報道しました.

 30年前のこの日,中米のエルサルバドルにあるセントラル・アメリカ大学構内の教職員宿舎で深夜,6名のイエズス会神父と宿舎の調理師,その16歳の娘が銃殺されました.
 米国の軍事支援を受けた軍隊(いわゆる「死の部隊」)が同大学を襲い,教職員と家族を殺害した事件は当時,世界に衝撃を与えました.
 ラテンアメリカ諸国への米国の政治的介入や軍事支援の実態に,改めて注目が集まりました.

 下のNPRのウェブサイトで,30周年に配信された記事とラジオ放送にアクセスできます.

 1989年にエルサルバドルで起きたイエズス会士の虐殺を記憶する(Remembering The 1989 Massacre Of Jesuits In El Salvador
(https://www.npr.org/2019/11/15/779628824/remembering-the-1989-massacre-of-jesuits-in-el-salvador?fbclid=IwAR2p8pper2BAo7OkUkZy6tT-9nruvw98Y9-c-2PT59QoBPY5yG_yoK5nqDQ)

 「いつも彼らを思い出しています」:目撃者が1989年のエルサルバドルでのイエズス会士虐殺を語る('I Miss Them, Always': A Witness Recounts El Salvador's 1989 Jesuit Massacre)
(https://www.npr.org/2019/11/16/774176106/i-miss-them-always-a-witness-recounts-el-salvador-s-1989-jesuit-massacre)


 銃殺された犠牲者のひとりは,解放の心理学を樹立し実践したスペイン出身の心理学者,イグナシオ・マルティン‐バロ(Ignacio Martín-Baró,1942‐1989)です.
 彼は社会心理学者として,カソリックの宗教者としてエルサルバドル政府の圧政や激しい経済格差,それらの人々の生活への悲惨な影響などを心理学研究をとおして批判していました.

 そのため,彼の仕事は当時の政権や右派勢力に疎まれました.
 同じように貧困者や政治的抑圧を受ける弱者の側に立ち,社会正義を求めて活動していた同僚の神父と,虐殺が行われた教職員宿舎の調理師とその子どもとともに,軍兵士によって殺害されてしまいました.
 
 マルティン‐バロがスペイン語で書いた論文が英訳され,手軽に読むことができます.
    Writings for a Liberation Psychology (Ignacio Martín-Baró, 1996, Harvard University Press)

   Writings for a Liberation Psychology


 ラテンアメリカでは彼が活躍する前から,解放の神学や解放の教育学が発展していました.
 解放の心理学もラテンアメリカ諸国が共有する政治的,経済的,文化的文脈(貧困や格差,米国の強大な力,カソリック信仰など)を背景として,それらの影響を受けて生まれました.
 マルティン‐バロの没後,解放の心理学は社会心理学を中心に多くの研究やコミュニティでの実践を生み出しました.
 今日までに北米の主流心理学とは異なるアプローチを代表する批判心理学(非主流心理学)のひとつへと発展しています.




2019年9月19日 (木)

次の批判心理学セッションは12月15日です

 次回の批判心理学セッションは12月15日(日曜)に開かれます.
 会場はいつもと同じ静岡大学東京事務所.午後2時開始です.
 発表を希望される方は,当ブログ開設者にお知らせください. 

 先日,下に示した12回目のセッションが盛大に開かれました.
 日米の性的マイノリティに関する研究や,心理学初学者へのメタ学問的な心理学への導入教育など,当初の予定になかった発表も行われ,テーブルを囲んで活発に意見が交わされました.

 飛行機や新幹線に乗って駆け付けた参加者もいました.5時間余りの発表と討議の時間が長いとは,私は全く感じませんでした.
 初めての参加者から「こんな刺激の多い研究会は初めてです」といった声もきかれました.
 ここから研究や教育,社会的取組みなど,新しい心理学実践が生まれるといいですね!

批判心理学セッション12
日時:9月16日(敬老の日),午後2時から
会場:静岡大学東京事務所.同事務所は東京工業大学キャンパス・イノベーションセンター内,6階612号室(エレベータを出て左側正面)
1.増田 匡裕(和歌山県立医科大学)「“Communication in relationships”ではなく“Relational communication”なら:G.A.Kellyのパーソナル・コンストラクト理論」
2.百合草 禎二(常葉大学名誉教授)「なぜヴィゴツキーの心理学思想に惹かれるのか」
3.いとう たけひこ(和光大学)「原発避難者の語り」
4.五十嵐 靖博(山野美容芸術短期大学)「東アジアと世界の批判心理学を繋ぐ:東アジア批判心理学会議と国際批判心理学運動」
主催:(公社)日本心理学会 批判心理学研究会
参加費:無料
アクセス:JR山手線・京浜東北線,田町駅下車.芝浦口徒歩1分(http://www.cictokyo.jp/access.html

2019年9月10日 (火)

締切りが11月15日に延長されました:東アジア批判心理学会議

締切りが延長されました!
 東アジアと世界の批判心理学者の交流を目指して,「東アジア批判心理学会議」が和光大学で開催されます.東アジアの地で初めて開かれる批判心理学に関する国際学術会議です.
 発表の申し込みの締切りが11月15日まで,延長されました.まだ,間に合います!

東アジア批判心理学会議(The 2020 Critical Psychology Conference in East Asia
日時:2020年2月29日(土),3月1日(日)
会場:和光大学(東京都町田市)
発表申込の締切り:2019年11月15日(火)
使用言語:英語.原則としてシングル・セッションの口頭発表形式です
参加費:昼食等の実費
主催:(公社)日本心理学会 批判心理学研究会
共催:和光大学いとうたけひこ研究室
発表論文の刊行:本会議で発表される論文は査読を経てAnnual Review of Critical Psychology の特集号「Critical Psychologies from East Asia(仮題)」に掲載されます.
※発表の申し込み方など詳細は下の公式ウェブサイトをご覧ください.
 https://2020criticalpsychologytokyo.jimdofree.com/


東アジアの心理学の共通性
 この学術会議は東アジアと世界各地の批判心理学者が集う初めての国際会議です.
  
 東アジアの心理学者は,漢字や仏教や儒教などの文化的資源を共有しています.このため心理学的活動の背景となる価値観や研究対象を捉えるカテゴリーや概念にも共通性が見られます.
 また,東アジアの心理学者は長い歴史的経験を共有しています.特に近代以降には,19世紀の最後の四半世紀から西洋心理学を導入して始まった日本の心理学が,植民地主義政策の下で東アジアに普及しました.
 第2次大戦後には中国を除いて政治的,経済的,文化的にアメリカの影響が強まり,心理学の「アメリカ化」が進みました.
 現在,中国語圏の心理学では中国の影響力が高まり,アメリカ心理学(より広く西洋心理学)に代わるものとして「土着心理学」(中国語では「本土心理学」)が盛んになっています.


東アジアと世界の批判心理学のネットワークを!
 その一方,東アジアではまだ,批判心理学者のネットワークは築かれていません.イギリスや中欧と北欧,北アメリカ,ラテンアメリカ,南アフリカには既に各々の文脈で多様な活動を展開している批判心理学者の交流を促すためにネットワークが生まれ,新しい心理学実践を刺激しています.
 本会議が東アジアの批判心理学者どうしを,また東アジアの批判心理学者と世界の批判心理学者を繋ぐ一歩となります.

 東アジア批判心理学会議は日本と中国,香港,台湾,韓国,マカオの心理学者と批判心理学に関心を持つ様々な専門領域の研究者が集い,さらに南北アメリカやアジアやアフリカなどの批判心理学者を招いて,心理学が直面している課題とそれへの取り組みを討議します.

 この会議からきっと,現行の心理学が抱えている諸問題に取り組む新しい心理学実践(研究,心理臨床,教育,学会・学界活動,社会的活動など)が生まれてくることでしょう.
 関心をお持ちの方は是非,公式ウェブサイトをご覧ください.

 Flyer2020cpcea201999


 

2019年8月28日 (水)

9月16日に批判心理学セッションが開かれます!

 9月16日(敬老の日)に,12回目の批判心理学セッションが開かれます.

 Kellyのパーソナル・コンストラクト理論 やヴィゴツキー心理学の意義,原発事故避難者の語りの分析,東アジア批判心理学会議が目指す目的など,面白い主題が目白押しです.
 批判心理学に関心をお持ちの方は,どなたでも参加できます.参加費は無料です.  


批判心理学セッション12
日時:9月16日(敬老の日),午後2時から

会場:静岡大学東京事務所.同事務所は東京工業大学キャンパス・イノベーションセンター内,6階612号室(エレベータを出て左側正面)

1.増田 匡裕(和歌山県立医科大学)「Communication in relationships”ではなく“Relational communication”なら:G.A.Kellyのパーソナル・コンストラクト理論」

2.百合草 禎二(常葉大学名誉教授)「なぜヴィゴツキーの心理学思想に惹かれるのか」

3.いとう たけひこ(和光大学)「原発避難者の語り」

4.五十嵐 靖博(山野美容芸術短期大学)「東アジアと世界の批判心理学を繋ぐ:東アジア批判心理学会議と国際批判心理学運動」

主催:(公社)日本心理学会 批判心理学研究会

参加費:無料

アクセス:JR山手線・京浜東北線,田町駅下車.芝浦口徒歩1分(http://www.cictokyo.jp/access.html)

所在地 : 〒108-0023 東京都港区芝浦3-3-6.
※当日,建物玄関ロビー等に開催掲示はありません.6階の612号室までお越し下さい.
 


2019年8月 4日 (日)

批判心理学の新ジャーナル:待望の創刊です!

 批判心理学に関する研究を発表するフォーラムとして,新しい学術雑誌が創刊されました.
 そのタイトルは「アライ(Awry):批判心理学ジャーナルAwry: Journal of Critical Psychology」です.
 
 Awryは「斜めに」といった意味の英単語です.

 疑いの余地のない「科学的事実」とみなされている既存の心理学知識を,別の視角から「斜めに」見て再検討する,といった含意が読み取れます.
 (ジジェクの「斜めから見る:大衆文化を通してラカン理論へ (Looking Awry: An introduction to Jacques Lacan through popular culture(1991)からこのタイトルの示唆を得た,と新雑誌の編集長に伺いました.ただし,批判心理学ジャーナルはラカン派精神分析と特にかかわりはない,とのことです.)

 新雑誌は査読付きジャーナルです.
 論文を掲載するために著者が「論文処理費」を支払う必要はありません.論文を読むのも無料です.本当の意味でオープン・アクセスジャーナルといえます.

 年に2回,刊行されオンラインで公開されます.

 心理学が産み出した理論やセラピー,専門用語や概念,研究方法や心理学教育,社会との関係など既存の心理学が直面している多くの主題が,このジャーナルを舞台として探究されるのでしょう.北米やヨーロッパやオセアニアだけでなく,ラテンアメリカやアフリカやアジアの研究者がきっと重要な寄与を為すのだろう,と期待しています.

 今,論文の投稿や特集の企画を募集しています.下のウェブサイトをご参照ください.
 私も編集委員を務めています.日本から,東アジアから独自の研究を刊行できればいいですね!


 Awry: Journal of Critical Psychology (AJCP)
  https://www.awryjcp.com/index.php/awry

 

2019年7月27日 (土)

Frontiers in Psychology誌の特集「高等教育の市場化」

 Frontiers in Psychology誌が,特集「高等教育の市場化:消費者としての学生と自由市場が結合した現状」を刊行します.今,この特集号に掲載する論文を募集しています.

 同誌は近年,注目を集めているオープンアクセス・ジャーナルを代表するひとつです.
 「高等教育の市場化」はこの十数年ほどの間,日本で心理学教育に携わる大学教員が学生の募集や教育,生活の指導,就活の支援,研究活動,外部資金の調達など様々な場面で経験してきた現象です.(今後いっそう,この傾向が強まりそうですね.)

 心理学(特に臨床心理学)は高等教育の「消費者」である学生が好む学問です.
 また「消費者」のニーズや内的な能力や性質を把握し,必要があればそれらに介入する技術を心理学が提供しています.この意味で心理学は,文部科学行政や大学の運営を担う「管理者」のために役立つ,便利な学問という側面をもっています.

 市場化された高等教育を受ける学生の主観性と経験,同時代の政治経済や教育行政と学問や教育の関係を心理学者が探究することは,有意義な研究主題でしょう.

 関心をお持ちの方は,下記のウェブサイトをご覧ください.(私もこの特集の編集委員を務めています.)


 The Marketization of Higher Education: The State of the Union between the Student as Consumer and the Free Market (https://www.frontiersin.org/research-topics/10838/the-marketization-of-higher-education-the-state-of-the-union-between-the-student-as-consumer-and-the)

 

 Frontiers in Psychology誌はオープンアクセス・ジャーナルですので,特集に掲載された論文を誰でも無料で読めます.このため多くの読者を期待できます.
 しかし,論文の著者は高額の論文掲載料(Article Processing Charge)を支払わなければなりません.ご注意ください.

 掲載料については次のウェブサイトをご覧ください.
 https://www.frontiersin.org/about/publishing-fees



 

2019年6月17日 (月)

批判的教育学事典(明石書店,2017)

 ラウトレッジ社のインターナショナル・ハンドブックの1冊,‘The Routledge International Handbook of Critical Education′(2009) が翻訳されていることを,ご存知でしょうか?
 日本語版のタイトルは「批判的教育学事典
」です.

 子どもや若者の教育がその在り方や目的,方法などをめぐって利害を異にする各種の主体の重要な関心事となることは,容易に予想できます.
 たとえば,子どもの自発的な興味や発達を重んじるか,時代の政治経済や社会からの要請を重んじて教育の目的や内容を決めるか,など多くの論争点が浮かんできます.
 「主流」の教育学とは異なる,様々な「批判的」なアプローチが登場するのも,うなずけます.

 次世代を担う子どもや若者の教育は,19世紀に国民国家が成立して以来,政治や行政,経済などを管理し統治する人々の関心の焦点でした.心理学が19世紀の後半に成立する背景になったのも,こうした社会セクターのニーズです.

 この事典から心理学の隣接学問である教育学における様々な批判的研究を,手軽に知ることができます.
 心理学を専攻する学生のために研究室に1冊,備えておかれるとよいのではないでしょうか?
 27,000円と高価ですが,有用な事典です.

 同じラウトレッジ社の国際ハンドブックシリーズから刊行されている‘The Routledge International Handbook of Critical Psychology’(2015)も,翻訳されるといいですね.

 批判的教育学事典
 マイケル・W・アップル,
ウェイン・アウ,ルイ・アルマンド・ガンディン編
 長尾彰夫,澤田稔監修
 27,000円
 明石書店, 2017.1.(原著の35章のうち28章を邦訳)
 

 批判的教育学事典


 以下,目次をお示しします.

第1部

第1章
批判的教育学の全体像 マイケル・W・アップル,ウェイン・アウ,ルイ・アルマンド・ガンディン

第2部
社会的文脈と社会的構造
第2章
世界銀行・IMFと批判的教育学の可能性 スーザン・L・ロバートソン,ロジャー・デール
第3章
学校教育の新自由主義的再編における運動と停滞 キャメロン・マッカーシー,ヴィヴィアナ・ピトン,スチョル・キム,デイヴィッド・モンヘ
第4章
企業化と学校の支配 ケネス・J・ソルトマン
第5章
カリキュラムというトロイの木馬 フルホ・トレス・サントメ

第3部
再配分・承認・差異化権力
第6章
再生産論再考-批判的教育理論におけるネオ・マルクス主義 ウェイン・アウ,マイケル・W・アップル
第7章
資本主義の君臨-階級闘争におけるペダゴジーと実践 ヴァレリー・スキャタンブロ-ダンニバーレ,ピーター・マクラーレン
第8章
人種はいまなお問題である-教育における批判的人種理論 グローリア・ラドソン-ビリングズ
第9章
教育におけるポスト構造主義的フェミニズムとは何だったのか ジュリー・マクロード
第10章
安全な学校、セクシュアリティ、批判的教育 リサ・W・ルーツェンヘイザー,シャノン・D・M・ムーア
第11章
男らしさと教育 マーカス・ウイーバー-ハイタワー
第12章
インクルーシブ教育という逆説-差異の文化的政治学 ロジャー・スリー
第13章
教育の批判理論に対するフーコーの異議申し立て ローザ・マリア・ブエーノ・フィッシャー(英語訳:リサ・G・ベッカー)

第4部
フレイレの遺産
第14章
テキストと闘うこと-フレインの批判的ペダゴジーを文脈化し、再文脈化する ウェイン・アウ
第15章
我々はどのようなタイプの革命に向けたリハーサルを積んでいるのだろうか-アウグスト・ボアールの「被抑圧者の演劇」 リカルド・D・ロサ

第5部
実践のポリティクスと理論の再生
第16章
批判的メディア教育とラディカル・デモクラシー ダグラス・ケルナー,ジェフ・シェア

第17章
批判的教育学のための教師教育 ケン・ザイクナー,ライアン・フレッスナー
第18章
集合的記憶の修復-批判的教育(学)の歴史 ケネス・テイテルバウム
第19章
教育力のある都市と批判的教育学 ラモン・フレチャ
第20章
市民学校プロジェクト-ブラジル、ポルトアレグレ市における批判的教育の適用と再生 ルイ・アルマンド・ガンディン
第21章
「日本」版批判的教育学・教育研究を創出する-批判的知の脱西洋化に向けて ケイタ・タカヤマ
第22章
中国における批判的教育研究の現状と可能性 グァン-ツァイ・ヤン,イン・チャン

第6部
社会運動と教育実践
第23章
批判的意識だけでは十分ではない-社会的公正、政治的参加、学生の政治化 ジーン・エニオン
第24章
教員組合と社会正義 メアリー・コンプトン,ロイス・ウェイナー
第25章
教員、実践と民衆-韓国教員の承認をめぐる闘争 ヒー・リョン・カン

第7部
批判的教育学のための批判的研究方法
第26章
転換期における批判的研究方法論に向けて ロイス・ウェイス,ミシェル・ファイン,グレッグ・ディミトリアディス
第27章
批判的教育研究は「量的」たりうるか ジョセフ・J・フェラール
第28章
文化横断的研究と教育におけるオリエンタリズム、西洋と非西洋の二元主義とポスト・コロニアルな視点 ヨシコ・ノザキ

 

 

2019年6月15日 (土)

第8回国際コミュニティ心理学会議(2020年6月26-28日,メルボルン)

 第8回国際コミュニティ心理学会議が,来年6月26日から28日までオーストラリアで開かれます.
 会場はビクトリア大学(メルボルン)です.

 コミュニティ心理学は北米心理学など,個人主義的な心理学観に基づく研究や心理臨床実践が支配的な心理学界において,「主流心理学」が直面している課題に取り組む批判心理学の先駆けとして長年,重要な役割を果たしてきました.

 第2次世界大戦後に国際心理学界を主導してきた北米心理学は,「個人の内部に閉じた心」を研究対象としています.
 外部からの入力(独立変数)が個人の心的過程(媒介変数)での内潜的な処理を経て,反応・行動(従属変数)として出力・測定されるという心観です.
 しかし心をひとりの個人の中で閉じたものとしてではなく,身近な他者や家庭,地域社会,学校や職場などのコミュニティ,さらに政治経済や諸制度などの社会構造と個人の心の関りにおいて研究することもできます.
 批判コミュニティ心理学は,北米主流心理学を制約している「過度の個人主義」を超えるアプローチを探究してきました.

 アメリカのコミュニティ心理学が1960年代に出立してから,長い時間が経ちました.
 
当初,アメリカのコミュニティ心理学は1960年代のアメリカ社会に広がっていた進歩的な気風を反映して,批判的なアプローチも採用していたのですが,他の多くの心理学の下位領域と同様,次第に「主流心理学」に組み込まれていきました.
(それでも私が見聞した限りでは,「統治や管理の機構のために働くエージェントに成り下がった臨床心理学よりはましだ」と世界の批判コミュニティ心理学者は考えているようです.臨床心理学者の皆さん,ごめんなさい.)

 コミュニティ心理学は日本の心理学教育で,もっと多くの時間と頁数を当てて紹介されるべき有用な領域です.
 心理学概論書でコミュニティ心理学の意義が詳しく説明され,批判コミュニティ心理学の日本語教科書が刊行されることが待望されています.
 (日本のコミュニティ心理学者の皆さん,よろしくお願いします!批判コミュニティ心理学を忘れないでください!)

 第8回国際コミュニティ心理学会議のおもな主題は,下記のとおりです.
・持続可能な未来のための知識(Knowledge for sustainable futures)
・多様な人々が参加できる文化と健康なコミュニティの創造(Creating inclusive culture and healthy communities)
・境界での活動(Working the boundaries)
・グローバルな動力学のローカルな表出(Global dynamics in local expressions

 発表申し込みの締め切りは,8月2日です.
 詳細については,下記の公式ウェブサイトをご覧ください.
  https://communitypsychologyaustralia.com.au/index.html


 

2019年6月 7日 (金)

次回の批判心理学セッションは9月16日(敬老の日)です

 11回目の批判心理学セッションが,6月2日に開かれました.
 遠方から飛行機や新幹線に乗って駆け付けた方も加わり,いつもにも増して活発な知的討議が行われました.

 発表テーマはコミュニケーション学への社会心理学からの新しい理論的研究,ロシアにおける旧ソビエト心理学の活動理論を受け継いで発展した心理療法,最近の日本社会における「自己肯定感」の批判心理学史的研究でした.

 ある発表者が会の後に,批判心理学「セッション」という発表形式は本当に良かった,自分の着想や説明に対して参加者たちがそれぞれの視点からたくさん刺激を与えてくれた,と述べていました.

 私も全く同感です.
 この数年で日本社会の中に急速に普及した「自己肯定感」という言葉の批判心理学史的研究を報告したのですが,参加者からいくつか貴重な示唆をいただきました.研究をさらに進められそうです.

 今後もこの「セッション」の長所を活かして,心理学が直面している課題に取り組む多様な研究を討議する場にしたい,と考えています.
 日ごろ研究や心理臨床や教育などの現場で心理学を実践している研究者の皆さん,学生として心理学を学んでいる皆さん,「今ある心理学」に疑問を抱かれたなら,批判心理学セッションで一緒に考えてみませんか?

 次回の批判心理学セッションは9月16日(敬老の日)に,同じ会場で午後2時から開かれます.
 発表を希望される方は,当ブログ開設者にお知らせください.

 下記は6月2日に開かれたセッションのプログラムです.

批判心理学セッション11
日時:6月2日(日),午後2時から
話題提供1:増田 匡裕(和歌山県立医科大学)「コミュニケーション学でもらった“玉手箱”を心理学の“浜辺”で開けてみると(その2:承前):G.A.Kellyの理論で対人コミュニケーションを説明するとはどういうことか」
話題提供2:百合草 禎二(常葉大学名誉教授)「エフ・イエ・バシリョク『体験の心理学:危機的状況の克服の分析』の第1章「体験の現代的見解」を読む」
話題提供3:五十嵐 靖博(山野美容芸術短期大学)「『自己肯定感』という言葉の起源と展開:心理学史研究と批判心理学の立場から」
会場:静岡大学東京事務所.同事務所は東京工業大学キャンパス・イノベーションセンター内,6階612号室(エレベータを出て左側正面)




 

2019年5月15日 (水)

「資本主義の病理学」という心理学の国際会議

 コスタリカの心理学者から来春,当地で開かれる国際会議の知らせが届きました.
 その国際会議は「資本主義の病理学に関するコスタリカ会議2020(PATHOLOGIES OF CAPITALISM
COSTA RICA 2020)」です.

 心理学者が主催し,世界各地から心理学者が集う学術会議が「資本主義の病理学」と題されていることに,驚かれた方も多いことでしょう.
 心理学がなぜ,政治経済の問題である資本主義とかかわりがあるのだろうか,と疑問に思われたなら,自分の心観を振り返えるよい機会です.

 認知行動主義的アプローチをとる「主流心理学」では,心理学は「心と行動」の科学と定義づけられています.
 しかしこの立場はすでに,特定の心理学の哲学に依拠しています.
 素直に字義通りに考えれば,心理学は「心を研究対象とする学問」でしょう.

 北米で生まれ発展した認知行動主義は個人の内部に閉じた心が行動に反映される,という心理学の哲学を採用しています.
   ここには北米の個人主義的な文化が表れている,とかねて多くの理論心理学者や批判心理学者が指摘してきました.
 もともと北米社会の文化や価値観に根差したものだったので,「個人の内部に閉じた心」という心観が北米の心理学者たちに自ずと受け入れられた,といえそうです.

 しかし,それにとどまらず心に影響を与え,その在り方を規定している個人を超えた諸要因ー政治経済や社会構造,文化などーを検討することも可能です.
 特に20世紀末以降,北側諸国が推し進めた新自由主義経済政策の下でグローバル競争が激化し,世界の多くの国・地域の雇用や物価に影響するようになりました.福祉や文教,環境などに関わる政府の政策が改悪されるなど,人々の生活に大きな影響を及ぼしています.
 それが個人の心のあり方や心身の健康に関わることは言うまでもありません.
 そこで「資本主義の病理学」という視点が重要だと考える心理学者が,世界各地で同時多発的に現れました.

 2020年会議は来年4月1日から3日まで,コスタリカ大学で開催されます.詳細はメール(patologiasdc@gmail.com )にて問い合わせてください.
 イグナティオ・ドブルス・オロペザ(Ignacio Dobles Oropeza)教授を中心に,コスタリカ大学の心理学者たちが国際会議を主催します.

 「資本主義の病理学」に関する心理学の国際会議は昨秋,ニューヨークで1回目の会議が開かれました.
 この会議は50人の招待者に限定されたクローズドなものでしたが,思いがけず,私も招待状を受け取りました.
 せっかくの機会ですので参加したところ,旧知の批判心理学者や心理学史研究者も出席していました.
 心理学の諸領域や関連する諸学問の多様な視角から資本主義の政治経済と心の関係をめぐって発表と活発な討議が行われました.私も他の出席者たちも,多くの新しい知的刺激を受けました.
 今後,こうして共有された経験から,世界の各地で新しい心理学が生まれてくることでしょう.

 来春開かれる「資本主義の病理学に関するコスタリカ会議2020(PATHOLOGIES OF CAPITALISM
COSTA RICA 2020)」はそのひとつです.
 この国際会議は招待者限定ではなく,世界の多くの心理学者と心理学に関心を持つ諸学問の研究者に開かれています.

 

2019年5月 9日 (木)

批判心理学セッションのお知らせ:社会心理学とコミュニケーションの新しい視点,現代ロシアの心理療法,自己肯定感の歴史

 6月2日,日曜に10回目の批判心理学セッションが開かれます.

 今回もユニーク,かつ重要な研究が発表されます.
 G.A.ケリーとコミュニケーション,旧ソビエト心理学の現代的展開としての新しい心理療法の理論,今日の日本社会における「自己肯定感」の起源とその影響など,他の学会や研究会では聴く機会の稀なテーマが発表されます.
 きっと,話題提供を受けて交わされる討議も,知的刺激に満ちたものになることでしょう.

 批判心理学に関心をお持ちの方は,どなたでも参加できます.
 参加費は無料です.


批判心理学セッション11
日時:6月2日(日),午後2時から

会場:静岡大学東京事務所.同事務所は東京工業大学キャンパス・イノベーションセンター内,6階612号室(エレベータを出て左側正面)

話題提供1:増田 匡裕(和歌山県立医科大学)「コミュニケーション学でもらった“玉手箱”を心理学の“浜辺”で開けてみると(その2:承前):G.A.Kellyの理論で対人コミュニケーションを説明するとはどういうことか」

話題提供2:百合草 禎二(常葉大学名誉教授)「エフ・イエ・バシリョク『体験の心理学:危機的状況の克服の分析』の第1章「体験の現代的見解」を読む」

話題提供3:五十嵐 靖博(山野美容芸術短期大学)「『自己肯定感』という言葉の起源と展開:心理学史研究と批判心理学の立場から」

主催:(公社)日本心理学会 批判心理学研究会

参加費:無料

アクセス:JR山手線・京浜東北線,田町駅下車.芝浦口徒歩1分(http://www.cictokyo.jp/access.html)
所在地 : 〒108-0023 東京都港区芝浦3-3-6.
※当日,建物玄関ロビー等に開催掲示はありません.6階の612号室までお越し下さい.

 

2019年4月22日 (月)

次回の批判心理学セッションは,6月2日に開かれます

 10回目の批判心理学セッションが昨日,開かれました.

 第1部は今道友昭先生による批判環境心理学に関するレクチャーでした.
 日本ではまだ知られていない,この研究領域の主題や基本的な考え方,社会的,政治経済的背景などを詳しくうかがうことでができました.アメリカの,特にニューヨークの生活環境や社会構造が新しい学問の発展を導く実例を学びました.
 批判環境心理学が今後,どのような理論や実践を生み出すか,注目されます.

 第2部の話題提供では現在,ロシアで展開している心理療法の理論と哲学を学ぶことができました.ソビエト心理学が培った長く分厚い理論的研究伝統に根ざして,新たな心理療法が創出される研究実践を初めて知り,強い印象を受けました.
 おそらく日本国内でこの主題について聞く機会は,他では得られないのではないでしょうか.

 次回の批判心理学セッションは6月2日に,同じ会場で開かれます.
 発表を募集しています.関心をおもちの方は当ブログ開設者にご連絡ください.

批判心理学セッション10
日時:4月21日(日),午後2時から
会場:静岡大学東京事務所.同事務所は東京工業大学キャンパス・イノベーションセンター内,6階612号室(エレベータを出て左側正面)
第1部 講演
今道 友昭(ニューヨーク市立大学・ラガーディアコミュニティーカレッジ) 「批判環境心理学の挑戦:その成果と課題」
第2部 話題提供
1.百合草 禎二(常葉大学名誉教授) 「エフ・イエ・バシリョク『体験の心理学:危機的状況の克服の分析』を読む」
2.五十嵐 靖博(山野美容芸術短期大学) 「原子力発電所事故の心理学<序説>:批判心理学,ディスコース分析と理論心理学からの取組み」

 

2019年3月29日 (金)

2020 Critical Psychology Conference in East Asia

  2020 Critical Psychology Conference in East Asia will be held on February 29th and March 1st, 2020 at Wako University in the City of Machida in Tokyo.

Aims:
  The international critical psychology movement has been provoking changes in the psychological world since the turn of the 21st Century. Although it not as strong as in the UK, North Europe, South Africa, Canada, and Latin America, critical psychologists are carrying out important work here in East Asia. The principal aim of the 2020 Critical Psychology Conference in East Asia is to connect critical psychologists in this area and to connect them with critical psychologists with parts of the globe.

  So called ‘modern psychology’ has long history in East Asia. Western psychology was introduced into Japan from the late 19th Century, soon after Japan emerged from its period of isolation and set about building a modern state following the models of Western powers. Psychology was institutionalised as a new discipline in several Japanese universities by the early 20th Century. Japanese psychology stimulated the development of psychology elsewhere in East Asia, a manifestation of intellectual and ideological colonization as the Empire of Japan expanded its territory in the region. These are among the origins of psychology in East Asia.
  Since the latter half of the 20th Century, psychology in East Asia has developed, each country affecting the other, sometimes intentionally, sometimes unintentionally. Psychologists there share Buddhism, Confucianism, Chinese characters and other cultural-political factors as a background and moral tradition. Now psychology has developed both in academia and in various kinds of social sectors where psychological knowledge has been used for their purposes of treating their ‘objects’, people.

  Psychology in East Asia has problems such as psychologization and Americanization among others. Although critical psychologists in East Asia have been working to tackle these problems, they have not known each other well as yet. There are no networks of critical psychologists here, as exist in Europe, US and Latin America, to an extent, in Africa. By connecting ourselves, and connecting with critical psychologists in other area of the globe, we expect something great will be born.

  We hope to create a forum to facilitate exchanges among critical psychologists in East Asia and exchanges between them and critical psychologists around the world to make change in psychology and psychologized society in pursuit of the welfare of people and advancement of knowledge.

 

Date:
  February 29th & March 1st, 2020.

Venue:
  Wako University in the City of Machida, Tokyo.
  (Address: 2160 Kanai-machi, Machida-shi, Tokyo 195-8585 JAPAN)

 

Conference process
 
2020CPCEA will be held in a single plenary session, without parallel sessions. Every conference participant will be strongly encouraged to attend every presentation and to share relevant thoughts, views and experiences in post-presentation discussions.

 

Submission of paper proposals
 
Please submit proposals for conference presentations by email as MS Word attachments, including the title, a 250-word abstract and brief biographical information, by October 1st 2019 to: Yasuhiro Igarashi (yigarashi@yamano.ac.jp) with 'Submission for 2020CPCEA' in the subject line.

 

Participation fee:
   Free, except for lunch expenses (TBA). The conference is supported by Wako University and Critical Psychology Colloquium of Japanese Psychological Association.

  

Language used for presentation:
  
English

  

Who should participate?
  Those interested in critical psychology specifically in East Asia but also from around the world as it connects with developments in East Asia, are welcomed. Not only psychologists, but also researchers and students in other disciplines and people who have an interest in critical psychology are warmly welcomed.
 We are sure new approaches and practices to tackle problems psychology suffers from and problems caused by psychology, will be made more visible from these close exchanges by the participants at the conference.

  Papers presented at the conference can be published in in the special issue of Annual Review of Critical Psychology devoted to the conference.

  Please contact the organize committee to know more about the conference.

 

Suggested readings on critical psychology in East Asia:

Bo Wang. (2013). Working at the Borders: Reconstructing the History of Chinese Psychology from the Perspective of Critical Psychology. Annual Review of Critical Psychology 10. (https://discourseunit.com/annual-review/10-2013/)

Fu Wai. (2013). Critical Psychology is not psychology: an essay from the perspective of an ancient Chinese philosopher Gongsun Longzi written by a so-called Hong Kong psychologist. Annual Review of Critical Psychology, vol. 10.  (https://discourseunit.com/annual-review/10-2013/)

Zhipeng Gao. (2013). The Emergence of Modern Psychology in China, 1876 – 1929. Annual Review of Critical Psychology, vol.10. (https://discourseunit.com/annual-review/10-2013/)

Yasuhiro Igarashi. (2006). Role of Critical Psychology in Japan: Protest Against Positivistic Psychology and Search for New Knowledge of the Mind. Annual Review of Critical Psychology, vol.5. (https://discourseunit.com/annual-review/5-2006/)

Yasuhiro Igarashi, Atsuko Aono, Tin Tin Htun, Satoshi Suzuki, & Hajime Tanabe. (2013). Critical Psychology in Japan: Voices for change. Annual Review of Critical Psychology, vol.10. (https://discourseunit.com/annual-review/10-2013/)

 

Conference organize committee:

  Yasuhiro Igarashi, Yamano College of Aesthetics, Japan. Chair.  (Email: yigarashi@yamano.ac.jp)

  Takehiko Ito, Wako University, Japan.  (Email: take@wako.ac.jp)

  Fu Wai, Hong Kong Shue Yan University, Hong Kong.  (Email: wfu@hksyu.edu)

  David Fryer, University of Queensland, Australia. (d.fryer@uq.edu.au)

 

The offcial website of 2020CPCEA is opened now.
  https://2020criticalpsychologytokyo.jimdofree.com/


 

 

 

 

 

 

2019年3月 7日 (木)

4月21日に批判心理学セッションが開かれます

 10回目の批判心理学セッションが,4月21日に開かれます.

 今回のセッションは2部構成です.

 第1部は環境心理学における批判心理学的研究実践について,
今道友昭先生に詳しくレクチャーしていただきます.今道先生はニューヨーク市立大学(CUNY)を拠点に教育・研究に取り組んでおられます.
 数多くの民族が共在する新自由主義経済のメッカであり,著しい力の格差の下で苛烈な競争が繰り広げられているニューヨーク市の生活環境を背景に,CUNYでは参加型アクションリサーチ(PAR)によるマイノリティを擁護する研究が盛んです.
 CUNYはアメリカで批判心理学がもっとも盛んな大学のひとつと言えるでしょう.
 ニューヨークや北米における批判心理学についても,今道先生からうかがえることと思います.

 第2部はソビエト心理学と原子力発電所事故の心理学に関する話題提供です.
 レクチャーと話題提供,そのあとのディスカッションが楽しみですね.

 批判心理学に関心をお持ちの方のご参加を歓迎します.参加費は無料です.


批判心理学セッション10

日時:4月21日(日),午後2時から
会場:静岡大学東京事務所.同事務所は東京工業大学キャンパス・イノベーションセンター内,6階612号室(エレベータを出て左側正面)
第1部 講演

今道 友昭(ニューヨーク市立大学・ラガーディアコミュニティーカレッジ) 「批判環境心理学の挑戦:その成果と課題」

第2部 話題提供
1.百合草 禎二(常葉大学名誉教授) 「エフ・イエ・バシリョク『体験の心理学:危機的状況の克服の分析』を読む」
2.五十嵐 靖博(山野美容芸術短期大学) 「原子力発電所事故の心理学<序説>:批判心理学,ディスコース分析と理論心理学からの取組み」
主催:(公社)日本心理学会 批判心理学研究会

参加費:無料
アクセス:JR山手線・京浜東北線,田町駅下車.芝浦口徒歩1分(http://www.cictokyo.jp/access.html)
所在地 : 〒108-0023 東京都港区芝浦3-3-6.

※当日,建物玄関ロビー等に開催掲示はありません.6階の612号室までお越し下さい.
 
 
 
 

2019年1月30日 (水)

2月17日に批判心理学セッションが開かれます

 2月17日に9回目の批判心理学セッションが開かれます.

 
発表テーマはヘックマンの『幼児教育の経済学』,心理学におけるフーコー派ディスコース分析,原発避難者の語りです.いずれも他の学会や研究会では聴く機会の稀な興味深い主題です.

 批判心理学に関心をおもちの方は,どなたでも参加できます.参加費は無料です.
 気軽にお運びください.



批判心理学セッション9
日時:2月17日(日),午後2時から

会場:静岡大学東京事務所.同事務所は東京工業大学キャンパス・イノベーションセンター内,6階612号室(エレベータを出て左側正面)

話題提供1:百合草 禎二(常葉大学名誉教授)  「ヘックマンの『幼児教育の経済学』の読み取りを糺す: 議論の本質はどこにあるのか?」

話題提供2:五十嵐 靖博(山野美容芸術短期大学)  「心理学におけるフーコー派ディスコース分析:4ステップの読解の実際」

話題提供3:いとう たけひこ(和光大学)  「原発避難者の語り」

主催:(公社)日本心理学会 批判心理学研究会

参加費:無料

アクセス:JR山手線・京浜東北線,田町駅下車.芝浦口徒歩1分(http://www.cictokyo.jp/access.html)

所在地 : 〒108-0023 東京都港区芝浦3-3-6.

※当日,建物玄関ロビー等に開催掲示はありません.6階の612号室までお越し下さい.











 

2019年1月10日 (木)

次回の批判心理学セッションは2月17日,次々回は4月21日です

 次回の批判心理学セッション9は2月17日(日曜)の午後2時,開始です.

 会場は静岡大学東京事務所(東京工業大学キャンパス・イノベーションセンター内,6階612号室.http://www.cictokyo.jp/access.html)です.
 話題提供者を募集しています.発表を希望なさる方は当ブログ開設者にお知らせください.

 その次は4月21日(日曜)に,同じ会場で開かれます.この10回目の批判心理学セッションは2部構成です.

 第1部は今道友昭先生(ニューヨーク市立大学・ラガーディアコミュニティーカレッジ)による批判環境心理学に関するレクチャーです.
 環境心理学と聞くと知覚や認知の応用領域を連想しますが,コミュニティや社会や文化なども私たちが生きる環境の重要な一部です.それが人の心や行動にどのように関わっているのか,批判心理学的な取組みを報告していただきます.
 レクチャーのタイトルは「批判環境心理学の挑戦:その成果と課題」です.

 今道先生はニューヨーク市立大学(CUNY)で学位を取得され,同大学で研究・教育に取り組んでおられます.CUNYはアメリカでもっとも批判心理学が盛んな大学のひとつです.
 CUNYや
ニューヨークにおける批判心理学の動向についても,紹介してくださることでしょう.
 楽しみです.

 第2部は日本で活動する心理学者による,多様な研究の報告です.

 批判心理学に関心をおもちの方は気軽にお運びください.





2018年12月26日 (水)

「歴史への新しいアプローチを討議する」(M.タムとP.バーク編,2018):心理学史研究の発展のために

 今,日本社会で生きる私たちは,さまざまな「心理学知識」が浸透した環境のなかで生活を送っています.
 自分の身近に人の心や内的な性質,行動などを説明する用語,それらを測定する検査,「心の問題」に対処するセラピーなどが,どのくらい普及しているか,お気づきでしょうか.

 それらの心理学知識は私たちの生活に,私たちが自他を理解する仕方に,陰に陽に影響を与えています.
 だから,それらをよりよく知ることが幸福な生活を送るために必要です.心理学知識はときに私たちの生活に悪影響を及ぼします.

 心理学を知るためには,心理学の歴史を知る必要があります.目の前にある心理学知識の由来を知れば,その長所も短所も明らかになることでしょう.
 しかし歴史は一つではありません.ある歴史的事象をどのように説明するかは,歴史を記述する人の立場や考え方(歴史観)によって大きく異なります.
 歴史観が異なれば,書かれ語られる歴史の物語も変わります.

 歴史学の領域で現在,新しい歴史観が探究され,そのもとで新しい研究が進められています.
 その最新の動向を討議する研究論文集が刊行されました.

M.タムとP.バーク編,「歴史への新しいアプローチを討議する」ブルームスベリー・アカデミック社,2018. (Debating New Approaches to History.
Marek Tamm & Peter Burke, (Eds), Bloomsbury Academic, 2018)



 心理学史研究にたずさわるものには学ぶことの多い良書です.歴史学の最前線に触れ,知的刺激を与えてくれます.
 「グローバル・ヒストリー」,「ジェンダー史」,「ポストコロニアル・ヒストリー」などすでに盛んなアプローチに加えて,「デジタル・ヒストリー」,「ニューロ・ヒストリー」,「ポストヒューマニスト・ヒストリー」,「環境史」,「人新世」など,興味深い主題が満載です.目次をみているだけでワクワクします!

 下に目次をお示しします.

Introduction, Marek Tamm (Tallinn University, Estonia)
1. Global History
Contributor: Jürgen Osterhammel (University of Konstanz, Germany)
Commentator: Pierre-Yves Saunier (Université Laval, Canada)
2. Environmental History
Contributor: Grégory Quénet (Versailles Saint-Quentin-en-Yvelines University, France)
Commentator: Sverker Sörlin (KTH Royal Institute of Technology in Stockholm, Sweden)
3. Gender History
Contributor: Laura Lee Downs (European University Institute, Italy; EHESS, France)
Commentator: Miri Rubin (Queen Mary University of London, UK)
4. Postcolonial History
Contributor: Rochona Majumdar (University of Chicago, USA)
Commentator: Prasenjit Duara (Duke University, USA)
5. History of Memory
Contributor: Geoffrey Cubitt (University of York, UK)
Commentator: Ann Rigney (Utrecht University, The Netherlands)
6. History of Emotions
Contributor: Piroska Nagy (Université du Québec à Montréal, Canada)
Commentator: Ute Frevert (Max Planck Institute for Human Development, Germany)
7. History of Knowledge
Contributor: Martin Mulsow (Erfurt University, Germany)
Commentator: Lorraine Daston (Max Planck Institute for the History of Science, Germany)
8. History of Things
Contributor: Ivan Gaskell (Bard Graduate Center, USA)
Commentator: Bjørnar Olsen (UiT – The Arctic University of Norway)
9. History of Visual Culture
Contributor: Gil Bartholeyns (Université de Lille 3, France)
Commentator: Jean-Claude Schmitt (EHESS, France)
10. Digital History
Contributor: Jane Winters (School of Advanced Study, University of London, UK)
Commentator: Steve F. Anderson (University of California, Los Angeles, USA)
11. Neurohistory
Contributor: Rob Boddice (Freie Universität Berlin, Germany; McGill University in Montreal, Canada)
Commentator: Daniel Lord Smail (Harvard University, USA)
12. Posthumanist History
Contributor: Ewa Domanska (Adam Mickiewicz University in Poznan, Poland; Stanford University, USA)
Commentator: Dominick LaCapra (Cornell University, USA)
Conclusion, Peter Burke (University of Cambridge, UK)            

Media of Debating New Approaches to History

 

2018年12月24日 (月)

次回の批判心理学セッションは2月17日です

 昨日,8回目の批判心理学セッションが開かれました.

 コミュニケーション学と社会心理学,特に構築主義や構成主義をめぐって話題提供と討議が,1時間半余りの間,活発に行われました.
 その後,自然科学と人間観の関係を質問紙によって探究する大規模な研究の結果が速報され,結果の解釈やさらなる分析の仕方が討議されました.今までにない研究のツールと理論的発展が期待され,今後の発展が楽しみです.

 いずれも私にとって,新しい知見を得る機会となりました.原子力発電所事故に関する私の発表にも,さまざまなご意見をいただきました.
 ありがとうございました.
 セッションの後の懇親会も,研究の進め方や研究者としての在り方などを語り合い,楽しくかつ有意義な時間を過ごしました.
 
 
批判心理学セッション8
日時:12月23日(日),午後2時から

会場:静岡大学東京事務所.同事務所は東京工業大学キャンパス・イノベーションセンター内,6階612号室(エレベータを出て左側正面)
話題提供1:増田 匡裕(和歌山県立医科大学) 「コミュニケーション学でもらった“玉手箱”を心理学の“浜辺”で開けてみると(その2):“e”が2つの「ケリー」よりも1つの「ケリー」が「認知的アプローチ」で「構成主義」の基盤と呼ばれる彼岸」
話題提供2:小田 友理恵(法政大学大学院)・吉田 光成(専修大学大学院)・新川 拓哉(Intsitut Jean Nicod)「自然科学は人間観にどのような影響を及ぼしているのか」
話題提供3:五十嵐 靖博(山野美容芸術短期大学) 「原子力発電所事故にかかわる諸問題を考える:批判心理学,理論心理学とディスコース分析の立場から」

 

 次回の批判心理学セッションは2月17日(日曜)の午後2時から,同じ会場で開かれます.
 批判心理学に関心をお持ちお方はどなたでも参加できます.

 話題提供を希望なさる方は当ブログ開設者にご連絡ください.

2018年12月19日 (水)

批判心理学を知るために:ヴィヴィアン・バー 著「ソーシャル・コンストラクショニズム:ディスコース・主体性・身体性」

 大学などの心理学入門の授業ではたいてい,心理学は「心と行動の科学」だと教えられています.これは1930年代にアメリカで成立した新行動主義から,1950‐60年代にコンピュータ科学などの成果を取り入れて認知行動主義へと発展した現在の「主流心理学」の心理学観を表した心理学の定義です.

 認知行動主義的アプローチに依拠する「主流心理学」が抱える問題点を現在,日本でも他の国・地域でも多くの心理学者が自覚し,その解決に取り組んでいます.
 そのためには心理学の存在論や認識論など,哲学の水準で「主流心理学」を検討して新しい心理学の哲学を,それに支えられた研究方法論を構築しなければなりません.

 さまざまな可能性が探究され,
新しいアプローチが生み出されてきました.社会構成主義はその主要なひとつです.
 心理学の研究対象を「客観的,普遍的なもの」としてでなく,ある文化や社会の文脈において,特定の言語を用いて集合的に構成されたもの,という見方で研究しています.

 イギリスの批判心理学者,ヴィヴィアン・バー(Vivien Burr)の定評ある社会構成主義の教科書が邦訳されました.2015年に刊行された第3版の日本語訳です.

 ヴィヴィアン・バー (著)「ソーシャル・コンストラクショニズム:ディスコース・主体性・身体性」 田中 一彦 ・大橋 靖史 (訳),川島書店,2018


 社会構成主義に関する数多くの研究を引用して,各種の異なる立場を説明しています.訳文も読みやすく,優れた仕事を分かりやすい日本語で読む楽しみを味わえます.
 批判心理学とディスコース分析の入門書としても,お勧めできます.

 著者のバー氏はイングランド北部にあるハダースフィールド大学心理学科の「批判心理学教授」を自称しています.
 イギリスは最も批判心理学が盛んな国のひとつです.本書から1980年代以降に当地で興った「イギリス批判心理学」やディスコース分析の考え方を知ることができます.
   
 下に目次をお示しします.   
第1章 ソーシャル・コンストラクショニズムとは何か
第2章 ソーシャル・コンストラクショニズムの主張
第3章 ソーシャル・コンストラクショニズムにおける言語の役割
第4章 ディスコースとは何か
第5章 ディスコースの外に実在世界は存在するか
第6章 巨視的ソーシャル・コンストラクショニズムにおけるアイデンティティと主体性
第7章 微視的ソーシャル・コンストラクショニズムにおけるアイデンティティと主体性
第8章 ソーシャル・コンストラクショニズムの探究
第9章 ソーシャル・コンストラクショニズムにおける問題と論争



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