« 2013年9月 | トップページ | 2013年11月 »

2013年10月

2013年10月16日 (水)

批判社会心理学への招待:Wendy Stainton Rogers著‘Social Psychology’(Open University Press,2011)

 社会心理学では批判心理学的アプローチが比較的さかんです.1970年代から「言語への転回」がおこり,さらに「ディスコースへの転回」へと発展して,社会構成主義など新しいメタ理論が提唱されました.新行動主義的心理学観に依拠する北米の実験社会心理学に対して異議の声があがり,新しいアプローチの探究を促しました.

 批判心理学の視点から社会心理学の全体を概説する下記のテキストをお薦めします.

 Wendy Stainton Rogers著 Social Psychology(2nd ed.,Open University Press,2011)

 著者はイギリスの社会心理学者・健康心理学者で,国際批判健康心理学会会長を務めています.同書は批判心理学の様々なアプローチを紹介し,質的方法と量的方法の双方を説明しています.欧米だけでなくアフリカやアジア,ラテンアメリカなどの非西洋圏の視座を幅広く取り入れています.

 以下に目次をお示しします.

SECTION 1 Foundations and principles
 What is social psychology?
 The foundations of experimental and critical social psychology
 An introduction to critical social psychology

SECTION 2 Methods and analytics
 Quantitative research in social psychology
 Qualitative research in social psychology

SECTION 3 Social cognition and construction
 Communication and language in social psychology
 Social cognition, social perception and attribution
 Attitudes and behaviour

SECTION 4 Social identities and relationships
Values
 Social selves and social identities
 The social psychology of relationships

   

 

 Stainton Rogers教授は批判健康心理学の先駆者として,セクシュアリティの心理学のテキストの著者としてて,質的心理学ハンドブックの編者として,また児童虐待の研究者としても国際的に知られています.下記をご参照ください.

Explaining Health and Illness: An Exploration of Diversity (Wendy Stainton Rogers著,Prentice-Hall,1991)

The Psychology of Gender and Sexuality (Wendy Stainton Rogers・Rex Stainton Rogers著,Open University Press,2001)

The SAGE Handbook of Qualitative Research in Psychology (Carla Willig・Wendy Stainton Rogers編,Sage, 2013)

児童虐待への挑戦 (ウェンディ・ステイントン・ロジャース,デニス・ヒーヴィー,エリザベス・アッシュ編 福知栄子他訳 法律文化社 1993)

 ステイントン-ロジャース教授は2010年春に来日され,明治学院大学で「アブダクティブ心理学:質的研究と量的研究の境界を超えて」と題して講演を行いました(明治学院大学大学院心理学研究科主催・日本質的心理学会共催).
 私を含め,日本の研究者との間に将来に繋がる有意義な交流が生まれました.

 

 

 

 

« 2013年9月 | トップページ | 2013年11月 »