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2014年2月

2014年2月14日 (金)

『倍因氏心理新説』A.Bain著,井上哲次郎訳(リプリント日本近代文学)

 世界初の心理学の専門ジャーナルのひとつであるMind 誌は1876年にAlexander Bain(1818-1903)によって創刊されました.

 そのベインの主著 Mental science : A compendium of psychology and the history of philosophy (1868)が,1882年に若き日の井上哲次郎によって邦訳されました.この本が明治初期に師範学校などで心理学の教科書として用いられていたことを知る人は稀なようです.

 『倍因氏心理新説』 (井上哲次郎訳,1882).上記のベインの著書の抄訳です.平凡社の「リプリント日本近代文学」の一冊として2013年に新たに刊行されました.

 同書の序文で井上は西洋の進んだ科学や技術の基礎をなしているのは物事の根本を探究する哲学であり,哲学を振興するには心理学が不可欠である,だからベインの心理学書を訳して日本に導入しなければならない,という趣旨のことを述べています.

 西周訳『奚般氏心理学』(1875)とともに日本における初期の心理学の歴史を考えるうえで,『倍因氏心理新説』 は興味深い訳業です.なぜ,どのようにして明治期の日本に心理学が導入されたかを検討することは,今日の日本の心理学のあり方を考察するうえでも重要です.

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