心理学的拷問を行った心理学者と被害者,CIA高官の宣誓供述ビデオ
9.11同時多発テロの後,アメリカが主導する「テロとの戦争」において,テロ容疑者に「過酷尋問」を行った米空軍出身の2名の心理学者を対象として,拷問を受けた被害者と遺族が被害の賠償を求めて裁判を起こしました.
ニューヨークタイムズ紙が6月23日の社説でこの問題を取り上げています.
「拷問者は語る(The Torturers Speak)」
(https://www.nytimes.com/2017/06/23/opinion/cia-torture-enhanced-interrogation.html?action=click&pgtype=Homepage&clickSource=story-heading&module=opinion-c-col-left-region®ion=opinion-c-col-left-region&WT.nav=opinion-c-col-left-region&_r=0)
上記のサイトでCIAに雇用されて「強化尋問技法」を開発し,アルカイダ幹部に自ら拷問を行ったブルース・ジェッセン博士とジェームズ・ミッチェル博士のビデオによる宣誓供述が公開されています.二人はアメリカ空軍でパイロットなどが敵軍に補足され尋問を受けた場合に備えて対策を教えるSEREプログラムの教官を務めた臨床心理学者です.
ジェッセン博士が公の場で心理学的拷問について発言するのは初めてだと言われています.
拷問を受けた被害者と拷問により死亡した被害者の遺族の宣誓,2名の心理学者の上司だったCIA高官(元CIA尋問センター長)の宣誓も見ることができます.
2名の心理学者は彼らが行った「強化尋問」は被尋問者に深刻な被害を生じなかった,アメリカで核爆弾によるテロが起こるのを防ぐためにテロ情報が必要だった,などの主張を展開しています.
被害者のひとりが,尋問とその被害の実態を証言している途中で当時を思い出したのか,急に泣き崩れる場面が記録されています.
対テロ戦争におけるテロ容疑者への拷問は,アメリカ史に残る汚点だ,とニューヨークタイムズ紙の論説記事が指摘しています.
この問題にかかわる多くの人物の中で,裁判で責任を問われているのは2名の心理学者だけです.
この問題にかかわる多くの人物の中で,裁判で責任を問われているのは2名の心理学者だけです.
今後,裁判のゆくえが注目されています.
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