« 2018年1月 | トップページ | 2018年3月 »

2018年2月

2018年2月 6日 (火)

次回の批判心理学セッションは4月8日です.

 2月4日に3回目の批判心理学セッションが開かれました.
 心理学の方法論や理論や概念,心理学教育や心理学史,心理学の科学性,福島原子力発電所事故の心理学などをめぐって活発な討議が行われました.

 午後から夜まで5時間半ほど,テーブルを囲んで意見を交わしました.年配の参加者から「何十年ぶりに院生時代に戻ったようだ」,「この研究会では自由に何でも言える」といった声が聞かれました.
 批判心理学セッションの良い特徴を示す発言でしょう.

 前回に続いて3度目のセッションでも,私は発表を聴いて多くを学び,自由な意見交換から新しい刺激を得ました.
 下記は発表テーマの一覧です.

 ・話題提供1:増田 匡裕(和歌山県立医科大学) 「コミュニケーション学でもらった“玉手箱”を心理学の“浜辺”で開けてみると(その1):バフチンの対話論に基づく「対人関係の弁証法理論」が知られていない。」
・ 話題提供2:百合草 禎二(主体科学としての心理学研究所) 「Tolman, C. W. (1994). Psychology, society, and subjectivity: An introduction to German Critical Psychology London,UK: Routledge を読む」
  ・話題提供3:五十嵐 靖博(山野美容芸術短期大学) 「原子力発電所事故のディスコース分析(2):猪苗代湖ズの『プライド。祈るように叫んだ歌』をめぐって」
  ・話題提供4:小田 友理恵(法政大学大学院) 「心理学の『科学性』について:科学史と心理学史を踏まえた,主観性と客観性に関する考察」
  ・話題提供5:田辺 肇(静岡大学) 「批判心理学を教育に活かすには?:精神保健福祉史,心理学史,心理学論における(3)“心のモデル”の伝え方」


 次回の批判心理学セッションは,4月8日に静岡大学東京事務所で開かれます.
 批判心理学に関心をおもちの方はどなたでも参加できます.温かい雰囲気の中で
前向きに心理学が抱えている諸問題や心理学の哲学や歴史,社会学,新しい心理学のあり方などを討議しましょう.

 発表を希望される方は,当ブログ開設者にお知らせください.



2018年2月 2日 (金)

2018年のアメリカ心理学の10大トレンド:心理学モニター誌の特集

 アメリカ心理学会の「心理学モニター」誌は,幅広い層の読者に向けて心理学を紹介する雑誌です.
 同学会はたくさん雑誌を刊行していますが,
「心理学モニター」誌はもっともよく読まれているもののひとつです.心理学の「科学」としての側面と,心理臨床や社会諸領域での心理学の応用の双方にかんするトピックを取り上げています.

 2018年のアメリカ心理学の10大トレンドを同誌が予想し特集号を組みました.(2017年11月号です.)

「注目すべき心理学の10の新トレンド:2018年に心理学に起こること (10 trends to watch in psychology :What's ahead in 2018)」. (Monitor on Psychology, November 2017, Vol 48, No. 10)

 次のウェブサイトで公開されていす.
 http://www.apa.org/monitor/2017/11/cover-trends.aspx



 10大トレンドのうちわけは,
・アメリカで心理学はいっそう人気を集め発展する,
・産業における応用心理学もいっそう重要になる,
・貧困や住環境などと健康の関係が注目を集める,
・科学政策など科学振興のために心理学が寄与する,
・神経遺伝学やエピジェネティクスで心理学が役立つ,
・不健康な職場と経済的コストの関係の理解が進む,
・健康専門職者の教育において心理学の重要性が増す,
・VR技術やITのアプリなどの新技術が心理学的サービスの利用可能性を高める,
・心理学界における女性の地位の向上が急務である,
・心理学界でもデータの共有やオープン・サイエンスが進む,
 というものです.

 いささか楽観的に過ぎるでしょうか?
 「テロとの戦い」におけるテロ容疑者への「過酷尋問」にアメリカの心理学者とアメリカ心理学会が加担した事実はマスコミ報道などで広く知られ,公衆の心理学への信頼を揺るがしました.

 しかし,北米社会はすでに高度に心理学化された社会になりました.ビジネスや教育や健康や司法や軍事など多くの社会セクターで心理学が求められています.
 だからこうした追い風を受けて,2018年も心理学はさらに進んでいくのでしょうね.

 「心理学モニター」誌があげた10大トレンドをそれぞれ説明する記事とそのリード文を下にお示しします.(英語のままです.お許しください.)

1.Psychology is more popular than ever.
    In a trend that bodes well for the discipline’s future and the nation’s health, the demand for psychologists—and psychology education—is robust.

2.Applied psychology is hot, and it's only getting hotter.
    Corporate America is increasingly in search of applied psychologists' skills.

3.Targeting social factors that undermine health.
    Psychologists are playing expanded roles in addressing how poverty, lack of decent housing and other environmental factors influence health outcomes.

4.Psychologists are standing up for science.
    The field is redoubling its efforts in the face of increased threats to science and science policy. Grassroots advocacy is springing up in cities and on campuses nationwide.

5.Epigenetics offers the promise of more precise treatments.
    Psychologists are helping to pioneer the fields of neurogenetics and epigenetics—work that could further illuminate problems in the brain and foster better therapies.

6.Research zeroes in on the costs of unhealthy workplaces.
    Psychologists are documenting the financial losses companies suffer when they fail to provide workplaces that offer psychosocial safety.

7.Integrated health training is on the rise.
    Expanded interprofessional education and training is boosting psychologists' skills and highlighting the critical role they can play on care teams.

8.Technology is revolutionizing practice.
    Apps and virtual help agents are forever changing the way psychological services are delivered.

9.Equality for women psychologists takes on new urgency.
    Women outnumber men in the psychology workforce, yet still aren't equally represented in the field's top positions or paid as much as men.

10.Psychologists embrace open science.
    The field is working to change cultural norms to encourage more data sharing and open science.


   

« 2018年1月 | トップページ | 2018年3月 »