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2018年4月 3日 (火)

イギリス心理学会の声明:学術雑誌における質的研究の重要性

 イギリス心理学会が3月27日に声明を発表し,学術雑誌における質的研究の重要性を強調しました.

 「ブリティッシュ・メディカル・ジャーナル」や「ジャーナル・オブ・チャイルド・アンド・ファミリースタディーズ」などが編集指針を改訂し,質的研究を受け入れない方針を示したことに反対を唱えています.

 上記の学術雑誌が質的方法を用いて行われた研究の掲載を止める理由として,
「優先度が低い」,「他の研究者によって引用されない」,「実用的な価値が低い」といったことが挙げられています.
 
 これらは良い研究かどうかを判断する基準の一部でしょう.
 しかし質的研究だから上記を満たさない,というわけではありません.量的研究など質的研究とは異なる方法を用いて行われる研究も,それらを満たさない場合もあります.
 良い研究もあれば悪い研究もあるのは,質的研究も量的研究も同じことです.

 上記の学術雑誌の編集委員会がもしも,質的研究だから悪い研究だ,と考えているなら,科学ではなく「科学主義」の悪しき例の一つです.
 研究対象の質を観察し記述して詳細に分析する研究方法が,科学研究において重要なことは明らかではないでしょうか.


 下記のサイトでイギリス心理学会の声明文が公開されています.
 https://www.bps.org.uk/news-and-policy/statement-qualitative-research-journals

 下に全文を引用します

「Statement on qualitative research in journals

                       27 March 2018

 As the learned society and professional body for psychology in the UK, the British Psychological Society is concerned in relation to the adoption of a revised editorial policy by some journals (including the Journal of Child and Family Studies and the British Medical Journal) to stop accepting submissions of qualitative research.

 We are particularly concerned at the claims that such studies are “low priority”, “unlikely to be highly cited”, “lacking practical value”, or “not of interest to our readers”.

 Qualitative research is now widely recognised as an important aspect of scientific work.  Whilst some research may be considered of “lacking practical value” or of “low quality”, the same argument can be made for research utilising other methodological approaches and techniques, and are not issues that are restricted to qualitative research alone.

 There is a risk that editorial decisions of this nature will begin to shape the discipline, instead of the discipline being shaped by the activity of the broader community of researchers.

 We wish to reiterate that the Society’s editorial policy across our portfolio of journals (published in partnership with Wiley) remains open to submissions of high quality research from all methodological approaches.


  Professor Daryl O'Connor (Chair, Research Board)
  Professor Andy Tolmie (Chair, Editorial Advisory Group)  」




  



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